orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

Twitterを見るとIT業界で年収イッセンマン、の謎

 

Twitterがちょっとおかしいなと思い始めたきっかけは、一昔前に年収に対するツイートが飛び交い、IT業界では年収一千万で当然みたいな空気が漂っていたころだ。

ただ、現実なんてこんなものである。

 

www.itmedia.co.jp

 日本のIT技術職の平均年収はいくらか。パーソルキャリアが12月19日に発表した、転職サービス「doda」に登録する全国の正社員から集計した平均年収ランキングによれば、「技術系(IT/通信)」全体の平均年収は442万円、生涯賃金は2億5200万円だった。

 

SIerはオワコンだとか、SESがどうこうとか、外資はアレだとか、とにかくマウントしあいみたいなことが起こって、どうなんだこれみたいになっていた。

結局は皆、自分自身と弊社しか見えていないわけである。年収推移などは国税庁から毎日方向されているわけで。

 

financial-field.com

正社員:約508 万円
男性:約570 万円
女性:約389 万円

 

国税庁の母集団が全国民だとして、dodaの統計は「転職したい人」なので見方は気を付けなきゃいけないが、簡単に言って、IT業界が他業界より給与が高いということはない、ということに気が付かなきゃいけない。

IT業界の良いところは、他業種に比べてスキルが他社で使える可能性が高いということだ。転職しやすい。それだけは言える。したがって人が動きやすいため、自社に何らかの不具合が起きても他に移ることが容易だ、と。いわゆる流動性が高い。

ただし、それが年収を引き上げる要素にはならない。

もともと、この業界自体の序列は低かった。ビジネス本体を支えるバックオフィス的な仕事の位置づけだった。仕事をしていてパソコンの電源がつかない。情報システム部門に電話し、確認してもらったらコンセントが抜けていた・・みたいな立場であった。

ここ最近DX(デジタルトランスフォーメーション)の隆盛で、企業がデジタルに本腰を入れないといけない雰囲気が強くなり、デジタル人材の強化に各社取り組み始めたが、それでも、給与を上げようとはならない。むしろ、非デジタル人材に入れ知恵をすることで穴埋めをしようとしているだけである。

 

つまり考えなければいけないことは、年収の話題などかなりセンシティブな話で、SNSなどで飛び交う話をうのみにするのは愚の骨頂であるということ。

IT業界に高い値段がついているわけではない。ITを使って、生産性の高い仕事ができる人に高い報酬は降りるが、そんなことができる人は本当に限られている。ぱっとこの業界に入って活躍できる人など皆無で、それこそ数十年のキャリアがあってこそ成り立つ。そしてスキルだけあっても相応する仕事がないと稼ぎようがない。機会は限られているためその機会を得るための場所探しも重要になる。

どういうプロセスを選ぶにしろ、高収入の人が成し遂げている成果を見ると、重い責任とキャッシュが動いている。それがデジタルかどうかというより、高収入は確実に、売上と利益の裏付けありきなのである。

過去は、終身雇用で、ただただ長く会社に在籍するだけで高い給与が得られるようなケースも存在したが、特にIT業界については他の業界より早く見直されてきた。人材流動性が高いため、人(中途採用者)に値付けしなければいけない場面が多かったからだと思っている。中途採用者ばかり高く評価すると既存社員に不平が出るので、会社全体の人事評価見直しを迫ることになるからだ。

だから、結果的に仕事をしていない人の給与が高くなることは絶対にない。結局のところそれは、私はIT業界の平均を押し下げる結果となっていると思う。

これは夢の無い話かというとそれは違っていて、実力のある人がちゃんと評価されるということでもある。だから、もし実力があるんだと自負する人は、平均なんぞを見てはいけない。平均の上下は個人には関係ない。結果を出せばちゃんとついてくる業界である一方で、結果が何かを見失うと、運任せにもなってしまう。

年収の話題だけは、どこの誰だかわからない人の妄言を信じるのは本当にまずい、と思う。