orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

SESで客先常駐をして「むなしい」一つのこと

 

最近、ある業者の人と話して「SESer(えすいーえすやー)」って言葉を使っているのを聴いて、はあ、そういう言葉もあるんや、と感心したことがあった。

SESという言葉はIT業界では有名で、SEサポート契約。準委任契約と当初言われたものを、もっと業界用語っぽくした言葉だ。派遣契約とは違う。派遣だと縛りがいろいろあるので、請負の形にしたい。けど請負だと成果物ができるまではお金の支払いがないので、それだと毎月お金を頂けないからつらい。派遣と請負を足して2で割って、常駐先と人を差し出す会社の二社に都合のいいような契約がSESだ。

二社に都合がいいからといって、差し出される技術者に都合がいいとは言っていない。

このSES契約を多用し、人を差し出すことを専門でやっている会社がSESer、ということのようだ。SIだとSIerだけど、SESerなんて、また面白い。

 

さて、私もSESerに10年以上在籍していたし、しかもほぼ同じ会社に常駐していた。それは何度かこのブログでも書いたが、むなしい、と思い続けていて、今でも、むなしい、と思う事がある。

それは、その常駐先の会社に、10年以上いたにもかかわらず、その常駐先の会社のビジネスをやっていたとは誰にも言えないからだ。

その常駐先の会社に直接雇用され、10年以上勤めていたら、それはさすがに実績として他人に堂々と言えるだろう。私は○○という有名な会社で、こんな仕事をしていました!ってね。

ところが、SESだとかなり微妙になる。あら、○○の社員だったんですか?という誤解を与えかねない。

でも、世の中ではSES自体はあまり認知されていないので、説明に困るのだ。本当に○○の仕事を10年以上やったのに、○○のことを大きく言えない。これは実際にはそこで働いていたときにも思っていた。そして、そこを離れて長い間経った今も同じだ。○○で働いていたときのことを誇れないのは、むなしい。

例えば私の業務経歴を書く時にも、「大手企業にて~を経験」という書き方しかできない。

 

個人のキャリア形成は、人によって考え方が全然違う。

技術志向なら、どんなビジネスかより、こんな技術を使ってました、こんなことができます、のようなことを積み上げるのでSESのように、常駐先が点々とするようなやりかたもアリだと思う。

私の場合、ビジネス志向が大きかった。こんな会社のこんな重要な仕事をやりました。と言いたかった。だからSESはかなりボトルネックになった。だから、30代半ばで転職して今があるのだが、それは良かったと思う。転職してからのキャリアは、確実に人に言えるから。こんな会社のこんな仕事を、こんな風にやってます!って歯切れよく言えるようになった。技術の中身より、その技術を使ってこんな責任を果たしていますということを誇れるようになった。

一つ言えるのは、完全に技術志向で行くなら、SES含め、業務委託のような、フリーランス的な志向もいい。いろんな会社での仕事を経験でき、たくさんの技術経験を身に付けられるからだ。一方で、ビジネス志向で行きたいなら、SESのような形態は若手と呼ばれる内だけにしたほうがいいと思う。だって、私のように、外に言えないのだから。

若手の内からビジネス志向で大手に入るのももちろんいいが、場合によっては大手にいると技術的なことを全くタッチできないで、ビジネスばっかりやらされるケースもある。

技術をしっかり持ち、それを発展させてビジネスをやりたい、みたいなキャリア形成をしたいのであれば、私のように、若手時代はSESや派遣中心、30代でジョブチェンジしてビジネス領域に行くようなやり方はお勧めしたいと思う。もしジョブチェンジできなくても、技術一本でそのままやれるという時代だから案外リスクも少ない。

まあ、いきなり大手に行って、大手の巨大ビジネスを若手時代から関わり、ビジネス分野で成り上がるようなルート。目指せる人は目指してほしいとは思うけど、私は縁がなかったな(就職氷河期世代だからってのはあるかも)。