orangeitems’s diary

クラウド専任40代後半のインフラエンジニア。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。1日2記事投稿しています(0:00、12:00)。

IT客先常駐の現在地

 

IT客先常駐を12年くらいやった経験があります。

こんなんやだ、と思って転職して12年くらい経ちます。今は自社で働いています。ポジションとしては元請SIerに近いです。ただ、常駐はしないのがポリシーです。

両方の経験を持つので、客先常駐に関して話します。

 

anond.hatelabo.jp

寝れないので、IT業界の客先常駐について書こうと思う。

 

客先常駐はよく否定されるけど、優良企業の職場に、未経験で潜り込むには理にかなってるんですよね。優良企業だけに正社員で就職するのは大変。だからこそ正社員にやらせるにはもったいなさ過ぎる、と言うような仕事を振る先が、客先常駐スタッフのミッションになります。

だから、常駐先の社員の待遇や仕事、責任を超えることは絶対にありません。

それでも、優良企業の仕事の仕方や環境、考え方を盗むにはすごくいい環境です。誰がどんな仕事をしているかがわかるので、こういう仕事がスペシャリストなのか、と理解することができます。

近くに行かないとわからないことがありますから。

仮に、自社の環境が良くなかったとして、自社に正社員でいると、自分の位置がよくわからないんですよ。他と比べて恵まれているのかそうじゃないのか。他社常駐だと、自分以外はみんなお客様ですから、客観的に見ることができるのはいい点だと思いました。

一方で、客先常駐だと自社とのコミュニケーションが枯渇しますから、もし常駐先に自社の社員がほとんどいない場合、会社員とは何かわからなくなります。誰も味方がいない感じもありますし、普通は自社に守られるべき自分が、外に放り出された感じとなります。だから、無力感は感じやすいです。

客先常駐は給料が安いとは言いますが、よくSESer企業の決算を見てみてください。利益率相当低いですよ(一般的に)。客先常駐の仕事にだって、営業担当の人件費がかかっていて、仕事を集め技術者にアサインするだけでもお金がかかります。そして、自社オフィスの家賃や、光熱費、広告費に・・と、会社を動かしているだけでかかる費用まで、客先常駐の単価には含まれています。

また、技術者個人への保険料や退職金積立、福利厚生・・、諸々考えると、単価と給与に差がでるのは致し方ないと思います。むしろそんな単価を客先常駐の担当者に晒すことが、理にかなわないです。

なお、客先常駐は前半にも言った通り、正社員がやるほどではない仕事、ですから働いていて高度なスキルが付くかというと限界があると思います。常駐先の足りない部分を補う、という側面が強いです。だからビジネスの全体感がわからんというのは、そうならざるを得ない関係性だからであって、普通です。

本文中に、客先常駐に向いていないのは、「目標達成能力がない」とありますが、それはどこの世界でも同じです。

公務員でも文系でもプログラミングが好きではなくても、向いてる人はいますから。目的達成能力がある人は、公務員でも文系でもプログラミングが好きではなくても、仕事する隙間はありますよ。

ちなみに私も文系ですし、プログラミングをしないインフラエンジニアではありますが・・。

後、パワハラのリスクは、別に客先常駐だろうが自社だろうが、同じくらいあります。そして、客先常駐に対してパワハラしても大丈夫、なんて人、今はいないです。仮にいたら、自社の社員にもしていると思います。

パワハラを軽く考えている人は、相手の身分なんて気にしません。弱いと思ったらとことんやってしまう。あまりにも無知だなと思います。客先常駐にだってパワハラをしたことが、相手の会社経由で伝わったら、かなり大変なことになりますよ。常駐先の会社もね。これは本当。

なぜ著者が「客先常駐だとパワハラされても守られない」と考えられたかというと、自社とのコミュニケーション不足が一番なんでしょうね。本来はどの会社も、社員のパワハラ案件は積極的に支援することが義務とされているからです。

 

職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!(厚生労働省)

 

こういう、社会のルール等の教育も、客先常駐になると一切されないことも多く、それは問題を感じますね。

 

私は一通り体験して学んだのでわかりますが、私のおすすめとしては、未経験で若いうちにSESにて客先常駐で潜り込み経験を積むのは賛成。

ただ、長居するのは、著者の言う通り運要素が絡みすぎているので、どこかで今までつけた技術で、客先常駐ではないIT関連の仕事に転職したほうがいいと思っています。だから、それまでにたくさんの技術の勉強をしておくのは、若手時代であるのも絡めて、大変に重要です。技術がつかないのを常駐先の環境だけに求めるのはいいことではないと思います。勉強になる現場が必要なら、担当の会社に訴えるのも手です。私も客先常駐時代に、1度会社に直訴して異動したことがあります。

一つ言えるのは、一寸先は闇なのは、客先常駐に限ったことではないこと。

社会経験が偏る客先常駐のデメリットもあるので、他業種の人の話を聴くなど、社会の知識を自分で手に入れる必要があると思いますね。