orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT未経験者、客先常駐のススメ

 

私も思い返せば、IT未経験で客先常駐にて20代を過ごしたクチである。

その常駐先の会社はグループウェアを全社で運用していた。結構そのころは牧歌的な時代で、アクセス権があまり設定されておらず、私のような外様の人間でもアクセス可能なことが多かった。

社内向けのいろいろな技術資料、今ではQiitaやZennみたいな記事群を読むことができた。常駐しながら暇な時間もあったので、その時間でそういった技術記事を探してこまめに読んでいった。考えてみれば、あれは「仕事を盗む」ってやつだったのかもしれない。本にもなっていない技術情報は大量にあって、それらが社内にたくさん転がっていて、ありがたく吸収させて頂いた。おそらく、アクセス権は今は厳密に管理されている(はず)。昔はかなり性善説でコンピューターも作られていたと思う。

そんな立派な会社に、当時の就職氷河期の時代は未経験で新卒入社なんてあり得なくて、一方で客先常駐の形では入り込むことはできた。あのころから二十年ちょっと経ったけど、今でもそういう傾向はあるんじゃないか。真正面から社員として就職するのは難しくても、パートナーとしては結構フランクに入り込むことができる。

未経験で、環境が整っている大会社に入り込むことができたら、それはラッキーである。大会社は大会社なりの素晴らしい環境があり、知的文化がある。それらを中に入って、くまなく観察すること。社員たちがどう動いているかに関心を持つこと。あとお勧めなのが、オフィスにいながら聞こえてくる音を断片的に聴くこと。どういうふうに社員同士がコミュニケーションし仕事をしているかを傍から観察すると、洗練された働き方を知ることができる。これは中からじゃないと拝めない。

大会社は、優秀な人を多数抱えているので、その人たち同士の仕事のしぐさは、見所でもあり見習うところである。未経験からだけに全てが学ぶ情報となる。彼らは何をコントロールし、何に悩み、どう行動しているか。そうすると、何億円、何十億円、もしくはそれ以上の金額が動く責任を、大会社がどうさばくかが観察できる。

若手のうちにそういう環境に、主役ではなくとも参加することで、知ることはできる。海外留学と似たようなものである。目の前で世界を見るだけで、価値観を磨くことができる。これが若手のうちに客先常駐するメリットじゃないか、と思う。

下手に、自社開発等で自社オフィスに閉じこもって若手時代を過ごすと、自社の環境が優れているかどうか次第で成長度合が変わってくる。いい先輩がいるか、いいナレッジがあるか、自部署以外にもいろんな仕事を自社が持っていて、刺激になるような景色を見ることができるか。

そうやって考えると、何かと批判されがちな客先常駐も、活用できる隙はある。案件ガチャと評されがちだが、いい案件もたまには出てくるということ。そしてダメなら、またガチャをやり直せばいいだけである。

また、何社かの現場を回ると、ああ仕事の仕方もそれぞれで全然違うなということを知ることができる。そうすると、良いところ・悪いところをそれぞれ学ぶことができ、将来自分自身が職場のコントロールができるようになったときに、知見としてフル活用できる。この状況はあの時の現場のやり方が転用できる、この場合はこれ、というふうに、若手の頃いろいろ見て来た景色が、30代・40代になってから、あたかも自分が考えたアイデアのように活用できるようになっていく。

客先常駐で仕事をしている若手が、いずれ経験を積んで若手ではなくなるとき、2つの進路がある。一つはあくまでも客先常駐エンジニアとしていろんな現場を渡り歩き、スペシャリストとなるケース。もう一つは元請や自社サービスの会社に転職し社員として働くこと。

前者の場合は大きな常駐プロジェクトのマネージャーになる人もいる。独立してフリーランスになったり起業する人もいる。もしくは営業や管理職方面に進み、技術者の管理側に回る人もいる。

後者の場合は、いくつもの大会社を見てきて、公にされていない方法論をたくさん知っているアドバンテージを事業会社に持ち込み、スーパーマン然として活躍し出す人もいる。

活躍の方法はいろいろあるので、未経験ならば、客先常駐で大きな会社に潜り込む戦略は今の時代でもアリなんじゃないか、と思う。

いろんな景色を直接目の前で見てきた人は、強い。