orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

今日も誰かが辞めて行く会社

 

今日も、誰かが辞めて行った。

結構活躍してた中堅で、これからの将来も期待されていた(らしい)方だ。退職挨拶にだって、良い会社だった!って書いてある。でもいくらそう言ったって、辞めるんだもの。何か不満があったに違いない。残念だ。

どんなにいい会社だって、社員には思いがある。不満がある。

マネージャーはその不満を聞き漏らすなという会社からの無言の圧力を受ける。少しの不満から退職を現実的な選択肢の一つにし始め、気づいたときはもう遅い。次が決まってからじゃ、対応のしようがない。

ただ、不満を知ったところでどうしようもないこともある。給料がもっと欲しい、なんて言われてもマネージャーの財布から給料を配っているわけじゃない。給料を上げたいならもっと、社内で評価され責任を負わないといけないよね、と。じゃあ、あなた、そこまでの能力をこの会社で発揮できますか?、なんてゴン詰めしたら逆効果だよね、全く。

会社の給与水準自体が低いんだよ、みたいな場合はマネージャーは手の出しようがない。そんな役員クラスしか判断できないようなことをマネージャーに訴えられてもな。ただ、社員がこんなこと言ってますよ、くらいのことは上申したほうがいいこともあるが、だいたいはヤブヘビになる。「あのマネージャー、部下の不満にかこつけて、会社批判してる」みたいな疑いをかけられたら飛んだとばっちりである。

できることなら努力する、実行可能なアクションに翻訳してがんばろう。だいたいのマネージャーはこうである。高い給与が欲しいならこういうポジションを目指そう。がんばったらこういう姿になる。そうやってなだめすかす役割が、マネージャーの9割だなって、たまに思う。

もしマネージャーが部下の不満を何のフィルターも無く社長まで運んだら、社長は不満の数々から日々チクチク刺されることになる。そうならないのがマネージャーの役割だよな、みたいな無言の圧力を私は知っている。こういう中間管理職の辛みとかって、昭和からあるよね。管理職の基本は保身だし、バランス感覚がおかしい管理職は簡単に弾き飛ばされるぐらいの権力が社長にはある。そして社長は社員にこういうのである。お客様と社員の幸せを達成するのがこの会社と私の最大の使命だ、と。

 

さて、こういった状況で、辞める社員自体もいい会社だと言及している状況で何で辞めて行くのか。下記のような仕組みじゃないか、と思っている。

・社員が思う自分の成長スピードと、会社の成長スピードにギャップがある。
・自分の成長スピードの方が速いので、自分の能力に合わせて昇進したいが、上にも能力のある人が居座っていて昇進できない。
・したがって、挑戦的な仕事ができない。今の仕事は十分できているが、このまま今後も同じことを続けていたら、足踏み状態となる。

ちなみに「いい会社」が前提なので、何とかハラスメントみたいなことが原因となっている場合は条件から外れるので留意。

いい会社とは言え、自分の描く成長スピードと成長を共にするかはわからない。景気動向、時代背景、いろいろな運やなりゆきが重なって会社の成長スピードは増減するが、社員は、たまたまその時代にその会社にいた、というだけの話である。

これがかみ合わないときに、上記のような退職の流れが起こる。もっと待てばよかったのにということもあるし、あの転職タイミングは見事だったね、と言う場合もある。

あと、面白い話、あまりうまく行っていない会社に転職し活躍し、それが元でその会社が成長軌道に乗った時、成長角度としては会社は急成長の類になる。その時にすごく活躍した社員ということで、思いもない昇進をすることがある。だから転職先として、必ずしも「今調子がいい急成長な会社」を選ぶばかりが選択肢じゃない。自分がうまくピースとしてハマると成長するような会社を選んで成功する人もいる。

 

だから、どんなに「いい会社」でも、社員のその時の思いと一致できない時と言うのは必ずあるので、辞めて行くこと自体はしょうがないのかな、と思う。

思うんだけど、もしそのマネージャーが自分だったとき、「お前のマネジメントが不足しているから辞めちゃうんだぞ」みたいなことを言ってくるような人もいなくもないので、あーあマネージャーつらい、とは思う。辞めないでくれどんな理由でも(わがまま)。