orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

辞めさせない時代の人事評価

 

AIで仕事が無くなるかも、なんて絵空事言ってないで、とにかく目の前の人材不足をなんとかしないといけない。とにかく人口減少については確定的なのだから、せっかく雇い入れた人をみんな戦力にしないとこの先しんどいことになる。みんな戦力になると言うことは、人事評価の仕方は新しい時代を迎える。

新しいということは今までどうだったか。これまでは競わせて優劣をつけるのが常とう手段だった。競争心を煽ると人間はパフォーマンスやモチベーションが上がる。しかしそれではいけない。負け組を作るということは、その人たちは辞める可能性が上がるからだ。誰も辞めさせないと言っているのに、確実に辞める層を作るというのは戦略がおかしいことになる。もともと採用時に評価して入社させたのに、劣っている、という評価を落とすというのは矛盾もしている。

つまり、競争させて、緊張感を与えて仕事をさせるのは時代遅れという新しい考え方が重要になる。振るいに落とすようなことをまだ貴社がやっているのであれば、まさに今後、出ていく人の方が入ってくる人より人数が多くなり、企業経営の継続性自体が問われるような事態がやってくる。給与水準を他社より上げようといっても、他社も同じことをしてくる。限定的な意味しかない。

時代遅れのマネジメントが染みついている人は、どうやって競争させないで部下のパフォーマンスを向上させ、かつ辞めさせないか不思議に思うだろう。方法はある。部下に明確に役割を与え、任せきることである。全員に役割をはめる。複数の役割は連動している必要があり、それを決めるマネジメントは、業務全体をデザインする能力が必要となる。

そして、役割に対して重要度に応じて評価を決定するということだ。その役割に誰をアサインするかについて、細かくマネージャーが決める場合もあれば、その個々の役割を具体的に実装するリーダーを自分のほかに決めてもいいだろう。

役割全体をデザインした後は、部下が能動的にその役割のミッションをこなすことになる。そして、それが見事に達成できているのであれば評価をする。これは全員がそうだ。全員が評価が高いということも十分にあり得る。その時点で振るい分けではない。全員が高評価ということも成り立つのがこの方式となる。

まさにこの方式は「ジョブ型」とよく似ている。ジョブ型に社会がなびいているのは、当然だ。優劣の相対主義が時代遅れだからだ。それぞれの役割を満たしたかどうかで評価をし、その役割の重要性以上の評価はしない。だから、もしもっと高い評価を受けたければ、新しい役割を勝ち取っていく。だから競争が存在しないわけではない。人との比較ではなく、役割を得られる信頼を勝ち取れるかがポイントとなる。この有無は本人が一番わかるので、評価の納得感は強くなる。

マネージャーは、後は組織を注意深く見て、デザインした役割について誰がどのように担い把握することが重要となる。その結果を人事評価に落とせばいいだけなので、誰がどんな努力をしているか、どんな潜在能力があるかなどは、気にしなくてよくなる。誰が見ても納得のある人事評価ができるようになり、辞める人は減るのである。

世の中にはいろんな職場があるので、今回紹介した考え方を均一に当てはめることは難しいが、考え方を変えなければいけないことは明確だろう。

・マネージャーは、役割をデザインする
・役割に対して人をアサインする
・役割と評価を連携し、人と人とを比べた評価をしない
・人の動きの観察

辞めさせない、というのは発想の転換がどうしても必要になる。時代遅れのマネジメントをしていないか、今一度確認してほしい。