orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人は勝手に育つものという前提に立ったマネジメント

 

新しい人が私の組織に入ってきた。

何もわからないところからの開始だと、いろいろとおぼえてほしいことがある。ただし、なぜ人を入れるかというと、メンバーが皆忙しいからで教える余裕はない。残念ながら私も今手を離せない。

今回は、部下に全て教育を任せることにした。そもそも部下の仕事内容はすでに範囲も、責任も明確化しているので、部下にまるっと任せることもできる。一応、人を入れる際の目論見通りだ。

理論的に言えば、マネージャーの私は何もしなくてもいい。「がんばってる?」「大丈夫?」なんて定期的に声をかけてやるだけだ。教育なんてこんな楽でいいのか、と言うと、きっと楽でいいのだ。

私も色々知っているので、細かい部分から、ああだこうだと教え始めると、もう教えることの内容が多すぎてキリがない。そして、私が教える係だと部下も、お任せ状態になりやすい。今回の関係性においては、私はできる限り我慢し、教育するとしてもメンバー全員に等しく情報をアウトプットする役回りだ。新しく人が入ってくるたびにベーシックな部分からマネージャーが携わるのは、これは越権行為である。下方に対して。

人に教える機会、部下ができる機会、というのは間違いなく人を成長させる。そして、新しく入った人も、私みたいな「偉そうな人」より、経験の浅い先輩に質問したほうがきっとストレスも少ない。

こうやって、言語化すると、あたかも素晴らしいことをやっているような気に合ってくるが、結構「放置」とも似ている。役割だけ作ってあとはお願いね、と同じ。でも、これが成り立つということは、人間の素晴らしいところを見ているのかも知れないな、とも思う。

後ろから、「ちゃんとやってるか?」「離席多いぞ!」「服装が乱れている!」みたいなことを、新しく入った方にマネージャーが直接やっちゃうと、まあ、組織はギスギスするだろうね。きっと、マネージャーの立場、しかも齢四十いくつ、となると、言葉が凶器みたいにもなる。優しく。謙虚に。そしてメンバーに育成を任せるし、新しい人は自分で勝手に教材を見つけては読み込んで、お勉強してくれていつのまにかメンバーの中に溶け込んでくれる・・はず。

これは、マネージャーからすれば、不安との戦いとも言える。放置した上に育成がうまく行かず、むしろ部下にストレスが増えて部下のパフォーマンスが低下し、その上新しいメンバーがなかなか伸びず、となる可能性だってあるのが人間社会だ。

もしそうなったら、そうなっただ。新しい人を私が教育し直す、のではなく、新しい人、この部署に合わなかったね、という例外処理をやらなければいけないかもしれない。もし仮に、私がダイレクトに教育して立て直したとしても、メンバーとの関係はだいたい険悪になっている。あいつがいると仕事に支障が出るんだ、からのリカバリーは、ほぼ無理である。それぐらい、合理的に考えていいものなのだと思う。下手に手を出したら、マネジメント全体が崩壊する。

そう考えると、「人は勝手に育つもの」という言葉も生ぬるいかもしれない。「人は勝手に育たなければいけない」のほうがもっと、現在の会社ワールドを表していると思う。