orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

競争をさせるのが効果的な時代は終わった

 

同年代(40代・50代)と話をしてギャップを感じた件。二人の部下がいて、どっちがどういう個性を持っているかという話をしていた。それが、いつの間にかどっちが優秀かみたいな話になった。今後、優劣・勝敗をつけてどっちを昇進させるかという話に持っていってしまいそうだった。

この考え方は、もはや時代遅れだ。二人いてそれぞれ個性をつかんだら、適性に応じて違う役割にアサインすれば良く、その役割には優劣はないはずだ。技術者タイプなら技術的な役割。マネジメントタイプならマネジメント的な役割。どうやっても上に伸びていくようなイメージで二人を語らなければいけない。

一昔前の、アイドルの選抜やら人気投票やらの仕組みは、きっと上の世代が考えたシステムだ。優秀な人を選抜してアサインする方法は、過去の人間がたくさんいた時代なら成り立った。勝ち組をセンターにして、後の人々はモブキャラにし、繰り返し有りのルーティーン作業にアサインすれば社会はまわった。

ところが、これから人口減時代に入る。人材採用もこれからの常識が通用しなくなる。人を選抜するどころか集めるだけでも難しくなる。集められた人をいかに有効活用するかが重要となり、今後、選抜することの意味が失われていく。

むしろ、競争に晒すことで、負け組は心理的安全性を損ない、著しくモチベーションを下げる。自己肯定感が下がる。そういう教育を受けてきた若者なのだから、それはごくごく当然だと思う。彼らは絶対評価の教育を受けている。個性を伸ばすことが正義の価値観なので、そもそも競争に当てはめることが、非生産的なのだ。

だから、個々人の個性をつかんだら、マネージャー達、それ以上の論説は無意味なんだよ、と。あなたが彼に評価していることはわかったが、違う彼も別の評価をしてそれなりの役割に仕立て上げないと、今からのマネジメントは勤まらないよ。・・・なんて直接言うことはしないが、これからそういう時代となる。

昨今のマネジメント、褒めてばかりで、叱る場面もなく、生ぬるいと感じている人もいるのかもしれないがそうではない。どの部下も活躍させねばならない、と考えると、マネジメントタスクは、かなり満足されるべき結果のハードルは高くなっている。一昔のマネージャーは、「あいつは使えない」と平気で言ったものだが、むしろそれは役割放棄である。使えるようにしなさいよ。そういう彼にも与えられる役割を創出しなさいよ、となる。

このところ、自分の中では新しいマネジメントのスキームに変更できていたので、他のマネージャーと話してみて、ああ、そんなにマインドチェンジできている人ばかりじゃないんだな、と思った。そういう意味でも、他人と話すことは有益である。他人は案外、当たり前だと思っていたことに対して、全く違うことを考えていたりする。