orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

そして誰も転職のことを言わなくなった

 

一時期、Twitterでは転職の話題であふれていた。あっちに移ると年収一千万的な投稿が乱れ、そんなうまい話あるんかいな、と思っていた。また、日本の大企業の価値を下げるような発言が多く、その一方で外資、特にテクノロジー関係への転職をすると年収ががっつり上がるような投稿が相次いだ。2019年あたりかな、一番凄かったのは。

コロナ禍が3年あったが、どうも、人が動きやすい時期だったように思う。あの、オフィスに行けない時期によくもまあ転職なんて考えるよなと思ったが、身の回りでも転職した人がとても多い。おそらく、在宅が増えたことで今後のことを考えたくなった人が多くなったのかもしれない。また、先が見えない中、少しでも制限の煽りを受けない業種に移動しようとする人も多かった。

そして今、面白いことに転職の話をさっぱり聞かなくなった。プライベートでも、SNSでも。

実際、身の回りに転職する人も減ったように思うし、仕事をしている人が仕事に集中し始めたように思う。今仕事に就けているだけラッキーだよね、という雰囲気が醸成したのは、きっと海外のレイオフブームのおかげだろうか。自分が今定職につけているということに価値を感じる人が多くなったということかもしれない。

もう一つ、最近の特徴がある。AIの出現だ。AIが出て来たことで、皆、仕事の方法が大きく変わるんじゃないかとびくびくしている。一概に怖いかと言うと、実は皆条件が同じなので、むしろAIを使って自分だけが得しようと頭を巡らせているという表現が正しい。AIが敵というより、AIを味方にする方法はないか皆逡巡している。明らかに誰かがうまくやったら得をしそうな雰囲気がぷんぷんしていて、我先に足を踏み出した人もいれば、その人をじっと観察して失敗するのかどうか見つめている人もいる。また、そんなのどうせ絵空事だよと、無視を決め込む人もいる。ま、いろいろだ。いろんなテクノロジーが過度な期待を持たれ、そして失望に変わっていたから。今回だってわからない。

仕事の形が不安定化する時期に、転職するのってありえないよね、というロジックが皆の頭の中を支配していると思われる。ただでさえコロナ禍終了の時期に、AIのブレイクが重なった。次が読めない。

かなりの人がとりあえずの自分のポジションで足を固めつつ、これから起こる変化を受け入れることを選びつつある。働く場所もオフィスに戻りつつあり、そして、各社、これまで延期にしていたようなプロジェクトを再開させつつもある。社会は間違いなく流動的になっていて、少なくとも仕事がなくて困るということはなさそうだ。どう考えてもこの3年間は、社会を作ると言うより、守るというかこれまで通りにしていくことだけで精いっぱいだったと思う。

ここ数年、転職による人の動きが激しかったのを含め、非常にやりにくさを感じていた。新しい組織を作ろうにも皆が、転職だなんだとモヤモヤしていたら、盛り上がらない。未来に向けて、まずはここから、積みあがる仕事をこなし、組織を、そして会社を盛り上げて行きたいと考えている。スタートラインに立った気持ちである。