orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

若手の職を奪う40代以上、という価値観は昔のものである

 

ある記事を読んだんだ。人口構成上40代以上の比率がどんどん増えていくので、若手の居場所がなくなるよみたいな主張だった。

んなことない。全然違う。

私は今40代後半だが、私が20代のころはまさにそういう図式であり、それが20年続いた。上には強烈な個性を持つ戦後を生き抜いた団塊世代がいて、そして私の世代は団塊ジュニアと呼ばれたまた人数の多い世代だった。その団塊ジュニアがいざ社会に出ようとしたときにアレが起こったんだ。バブル崩壊。世の中が戦後の高度成長モードから急速にシュリンクしていく中、陣取ったのはあの団塊世代たち。新卒採用を急に絞るということをやり始めたわけ。若手は行く場所なくなるわな。それが就職氷河期の始まりよ。

当時は、日本自体が生産するべき量に対して、日本人の数が十分に足りていた。だから若手の出る幕はなくて、今の40代、年齢だけはシニアだけど社内の立場は若手扱いって人も多いよ。これまで部下を持ってマネジメントする機会が得られなかった人がたくさんいる。地べたに座りながら島耕作を読んで、はー、昔の人はこんな好き勝手やってたんだなと思ったもんだよ。

ところがよ。

私が経験してきた「シニアで席が埋まっていて若手は座るところがない」という状況じゃないことが今起こっているんだ。むしろ今、シニアは席を譲りたいんだ。けど、ここ20年間、上述の通り下っ端仕事というか現場仕事ばかりをやらされたので、現場のナレッジを一番持っているのが実は今の40代なわけ。どぶさらいでもなんでも自由自在なわけ。で、さすがにこの年齢になったらもっと上流の、マネジメントの仕事に集中したり、新規事業創造のような価値の高い仕事に進みたいと思うわけだ。しかし、若手の数が少ないんだ。昔は、シニアと若手のバランス的に言えば、若手のチャンスが少なすぎたのもあって若手の余剰が大きかった。だから、昔は人なんていくらでも代わりがいるとも言われた時代だったのよ。今はどうだい。もう人口減少時代を先読みして新卒はもう給料自体を上げて取り合いになっているでしょう?。余剰がまったくない状況で、現場に若手が入って来にくいのは明確。

そうするとどうなる。シニアは若手に仕事を渡したくても渡す相手がいない。しかもだ。シニアにはこの20年間身に付けた豊富なナレッジがあって、まだ何にも知らない若手に「はい、交代ね」って言っても引き継げるわけがない。

時間がかかる上に、若手の絶対的人数がいない。でも、日本自体の生産しなきゃいけない量ってのは一定ということだよね。

こうなると、若手一人の「一人当たりが生産する量」ってのがますます増えていくということになる。したがって、今ならではの方法でシニアがやってきたどぶさらいをそのまま引き継ぐのではなく、今後効率化もしなきゃいけない。あら大変。

ということが、本気でどこの現場でも起きていて、どうしよう引き継ぐ人がいないみたいな話になっている様子を知っているので、シニアの人数比率が多いから若手の居場所がないなんてあり得ないのですよ。むしろシニアはいつまでも引退できない。引退できないように法制度がどんどん改まって、定年の年齢も、年金支給もどんどん高齢になっていく。まだ、まだそれでも40代以上は元気だからいいんだけど、あと10年が勝負だと思ってる。「席を譲らない」じゃないんだ。「どうやって席を譲るか」がポイントなんだ。我々を200歳まで働かせる気なのかよ・・。老人が若手の席を譲らない、なんて随分古い考え方、まだ残ってるんだなと思って、ちょっと一言言いたくなった。

以上が、若手になかなか仕事を引き継げない苦労する40代後半の叫びでした。