orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「理想の上司像」ほどこわい思い込みはない

 

ここ20年ほどの、マネジメントに対する常識の激変がうまく表現されているインタビューだと思った。

 

logmi.jp

『心理的安全性を高めるリーダーの声かけベスト100』著者・田中弦氏にインタビューを行いました。Unipos内でやり取りされた累計1,000万件以上のさまざまな「称賛」のやり取りから、心理的安全性を高める「声かけ」をまとめた本書。田中氏に、心理的安全性のある環境の作り方、そして人的資本経営における心理的安全性の重要性についてうかがいました。

 

これだけ、理想の上司像が激変したということ。

 

これは、2009年から2019年の「理想の上司」の変化です。2009年の理想として挙げられていたのは、リーダーシップと情熱を持っていて、場合によっては叱ってくれる人でした。それが実はこの10年で大きくランクダウンして、労いと褒め言葉を忘れない人が「理想の上司像」になっているんです。

 

そう、

・リーダーシップと情熱を持っていて、場合によっては叱ってくれる人

を私、実際にやってみて、超うまくいかなかった経験がある。

時代が変わってたのに気が付けなかったんだね。

なぜなら、私の上司がみんな、この類の人だったから。上司からこうやりなさい、って期待されたようにマネジメントしてみたら、もう全くうまくいかなかった。

それで、私の上司は、マネジメント向いていないみたいなことを言い出すので「ちょっと待てよ!」とも言いたくなった。いやいや、あなたの教え通りやん、って。

結局のところ、時代がころっと変わって、私も私の上司もハシゴを外されたんだ。で、私の上司も、素知らぬ間にシレっとキャラ変してやんの。私は、その柔軟性がなくって、一度失敗したってわけだな。

この記事で言う「柔軟性」ってそこよね。理想、という、唯一の真実的な意味を示す言葉の定義がこんだけガラっと変わりうるってこと。2019年と2023年でもまた大きく違う。コロナ禍を通り抜けてるから、すっかり、昔の情熱型の人、いなくなっちゃった。今は、いわゆるサポート型の、労いと誉め言葉を忘れないマネジメントが圧倒的に強いと思う。

 

ところが、私、またこの理想の上司像って、10年後あたりにはまた大きく変わってるんじゃないかと思ってる。褒めて褒めてばかりでは、部下は成長しない、ということを、部下自体が気付いてる。

むしろ、成長するためには、モーレツ(古い)に働く時期が必要だったり、厳しい指導も安全な限り欲しいと思っているよう。これ、マネジメント側はもう、ハラスメントの問題もあってなかなか厳しい指導もできずらいので、なんとなく心理的安全性ブームの揺り戻しがどこに行くのかを見て行く必要がある。

甘すぎる指導はむしろ、突き放したり無視しているのと同義で、褒めとけばいいんでしょにも通じる。それで「安全」って言われても実際キャリア的には危険なわけだ。したがって、むしろ厳しそうなコンサル業界に若手がこぞって向かっていくみたいな現象も起きてるわけだし、でもコンサル業界だって心理的安全性を取り入れているだろうしで、まだ過渡期だななんて思ってる。

 

私の経験から言えば、理想の上司を手本に、自分がマネージャーになったときにその手法をやると、時代が変わっていて大やけどすることもある。だから、上司の成功体験など、全くもって役に立たんと割り切った方がいい。マネジメントするなら、上司を見るより部下を見た方がいい。部下はどんな人なのか。何を望み、何でモチベーションが上がるのか。

そうか、最近Z世代がどうたらこうたら言うのは、今の世の中を動かしている世代が、Z世代の正体を見極めたいからなのか。世代間対立を煽るためではなくて、どうマネジメントしていいか悩んでいるマネージャーが多いため。それならなんとなく、納得できる。