orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

若手に技術を教えていて気付いたこと

 

20代で会社を辞める人がいる、それはそう。私も何人も見た。

 

nikkan-spa.jp

「職場がホワイトすぎて辞めたい、と仕事の“ゆるさ”に失望して離職する若手社会人が増えている」という日経新聞の記事が大きな反響を集めた。以前から「若者がホワイトすぎて辞める」ということは指摘されていたが、果たしてどうなのか

 

私自身も20代と対峙して、そして技術指導を最近よくやっているので関心をもっている。もちろん、20代を、SEKAI NO OWARIの曲じゃないが、簡単に、分類・区別・ジャンル分けしたらいけないとは思う。いろんな考え方の人がいるから。ただし、現象として退職していく人はいるので、気持ちはわかりたい。

インターネットによって、何か調べて「わかった」というところまでにかかる時間は、劇的に短くなったと思う。検索すればだいたい答えは出てくるんでしょ、と。そして、仕事に関しても「わかる」ことに対してスピード感を求めがちという雰囲気は感じる。

私が40代後半、目の前には20代。だいたい20年くらいは彼らが生まれていないときに起こっている。そして、ここ20年にITが劇的に発達したものの、彼らがそれを間近に知ったのはここ10年くらいなものである。だから20代にとっては圧倒的に20世紀はもう「歴史」であり、2000~2010年はセピア色なのである。

彼らに、20世紀のことを話してみるといい。知らない。20世紀のころの映像はYouTubeにほとんど残っていない。記事もまだなかった。だから、インターネットには過去も含有されていそうでされていない。むしろ過去をどんどん切り捨てて行っている。

つまり、20代は、経緯をすっ飛ばし、結果のみを知ることを「わかる」と思っている節がある。経緯がインターネットにないからだ。なぜパソコンが生まれクラウドが生まれ・・というところがすっ飛ばされて、もうそこにあるので、その使い方を教えてください、となる。

ところが、40代はその経緯を間近で見て来たのだ。あんな流行や、事件、事故のために今こういう仕様になっているのだ、ということを体感した上で今のITと付き合っている。そして、ITの仕事は、まさにそういうこれまでの経緯を踏まえた行動計画が必要となるケースが非常に多い。

もっと言えば、20代が目の前に見えていること(実行→結果)以上に、これまでの歴史や経緯、仕組み論のような話をもっと、40代レベルがたくさん話してあげないと、20代はいつまで経ってもITがなぜこうなっているのかについて、ピンと来ない。

したがって私は、最近は、何か物事を教えるときに、その結果だけではなく、そうなった背景、経緯、過去起こった話などを必ず交え、単なるこの事象の裏には、たくさんの知識が技術が隠れていることを伝えるようにしている。

1つのことを教えるのに、10や20のことを話すことが多くなる。そこまで知らないと、この目の前の1つは説明できないんだ、と。話は過去にもしくは、周辺の何かに飛ぶが、それも大事なんだ。

それは、20代の求める「タイムパフォーマンス」という世界ではなく、学ぶべきことはたくさんあり、全容を知っていくには時間と努力が必要なんだと言うことを話している。だって、量が半端ないもの。半端ないからこそ、彼らは何からやっていいかわからず、「すぐわかるもの」を求めてしまうのだろう。でも、それは最短距離のようでいて、一生たどり着けないトラップである。それでわかったような気になって、そこから何も勉強しなくなる人が、最も伸びなくなる典型なのである。

自分自身が所属する業界のイメージを「あたかも効率よく何かをおぼえたら、すぐにできるようになる」、のような認識を持たないように、最近は情報のシャワーを若手に浴びせている。そう、登っている山は君たちが思っているよりはるかに高いのだ。ワープできるなんて思わないこと。地道な学習の連続、それが一番の頂上に進む近道になる。成長とはそういうことである。