最近は、職場でも最近立ち上げたコミュニティーでも、採用活動でも、20代の方と会話することが多くなった。著しくいいことだと思う。同じ世代の人とだけ話をすると楽ではあるが、どう考えても見方が偏る。変な話、20代と会話することで、40代の私から見て30代はまだ近しい存在に見えるようになってきた。このグラデーションこそが財産となる。通じるだろうな、というぼんやりとした思い込みは、世代が離れるとともに薄れていく。
もともとこの社会のいびつなところが、20代は学生と、社会人デビューの境目だということだ。学生は学生を終えるまでは自分たちの世代としか付き合わない。それ以外と言えば親や親せきぐらいのものだ。そんな状況の中、社会人になると急に目の前に、30代、40代、50代・・が現れる。かなりのギャップを感じるのではないか、と思う。大学4年生なんて、「もう大人だもんね」オーラを出してるのだが、新入社員にも満たないと考えると未熟なものである。会社に入った途端にしおらしくなるのが関の山だ。
だから、20代がなかなか会社などで個性を発揮しづらいのも当然ではないかと思う。だって40代から見て20代が遠いように、彼らからも遠いのだ。この距離感をどのように取り、相手を理解し、そして自分をどのように理解してもらうか。ここに20代社会人がどう過ごしていくかのポイントが隠されている。
核心をついてしまえば、40代だって頭の中は学生のときからあまり進化していない。進化して見えるとすれば、見栄の張り方が上手なだけである。20代の方も話をするといろんなことを考えているし、社会に対して意見もあるし、少し前まで学生だっただけあり勉強もしている。違いは、長い社会人生活を経て経験値が高いぐらいのものだ。
この経験値というものもあてにならないもので、社会の変化が激しい中、陳腐化して利用価値がなくなるものもある。40代以上の人がたくさん配置転換や希望退職・早期退職を経験しているが、いくら自分の中で基準があっても、会社から見切られることすらある。
20代は、学ぶ教材として上の世代を見るのではなく、自分たちが見てこなかったものを知っている人たち、という括りで認識したほうがいいと考えている。そこだけは事実だからだ。決して自分が見ることができないものをリアルタイムに見てきている人たち、というのは明らかだ。そのため、世代間で価値観は間違いなく大きく異なってくる。
そして、社会全体があらゆる世代の集合体であり、それぞれで見聞きしてきたものが違い、価値観も違う。このグラデーションを社会人になり、幅広い世代を知り20代から感じることができると、きっと会社の中でも取引先でも、貴重な人材として扱われると思う。だって、どの会社にもお客様がおり、そのお客様の世代は問わないのだから。自分の世代自体は社会全体のほんの一部なのである。
40代の私から見た20代は、下でもないし上でもない。ただただ異なる。この異なりすら、誠実に話をして理解しすることで知見になる。そして私の感覚を20代に伝えることで、彼らの知見にもなる。
私が真実をより知っているわけでもなく、20代がより知っているわけでもなく、お互いの情報交換でお互いが持つ真実が増えるのだ。これは良い事しかない。
これからの社会がどう変化していくかはどの世代もわからない。だから、上の世代が20代に、「これを勉強しなさい」という態度もおかしいと今は思ってる。何を勉強するかは20代も主体的に計画し実行していくものだ。だって、今の40代、詰め込み教育で何やかんや時間を惜しんで暗記したにもかかわらず、「今からはデジタル人材」とか言ってハシゴ外された人多いからね。現在、デジタル無双となっている現状は、私が20代のころ、25年前くらいは誰もそんなこと考えてなくて、パソコンなんてみんな単なる道具と思ってた。未来なんてそれぐらい適当かつ大胆に動いていく。
20代社会人がどう過ごしていくべきか。結論としては、学生までに見えなかった上の世代に関心を持ち、できれば話をし、社会のありようについて理解を深めること。その上でどう社会が動いていくのかを予見し、特にその分野について仕事を通じて理解を深めていくこと。
ちなみに、だからといってインフルエンサーの動画を見まくるのはお勧めしない。偏ったサンプルで、誤った結論を出さないようにして頂きたい。
なお、20代の転職は盛んだなと私の実感として思うけど、動機がしっかりしている方は、今の会社の業務内容がフィットしないという悩みもよく聞く。ごもっともだと思う。20代でずれるとその後のキャリアも大きくずれるから、ね。やり直しは若いうちほどあってもいい。
自分が20代のころは、この記事に書いたようなことは全く思ってなかったけど。逆算して考えて、今の20代に伝えるならこんなところだと思う。まあ、人間と絡まない仕事なんて一つもないから、ね。
