一つの会社に10年いた、ということを私は幸運にも2回体験できたのだが、10年経つと会社の中もいろいろ変わっている。偉くなった人もいればそうでない人もいる。そしていなくなった人もいる。その間にジョインした人もいる。そりゃそうなんだが、10年経つと「同じ人」は年を取っている。
もし採用を全くしないとすれば、会社の平均年齢はそのまま10歳上がる。
現在:(20歳+30歳+40歳)/3==平均30歳
10年後:(30歳+40歳+50歳)/3==平均40歳
うん、正しいよね。
で、怖い話、もし上記3人の立場が
・マネージャー~リーダー~メンバー
であった場合、そして仕事の内容が全く変わらない場合、そのまま年を取ることになる。
20歳の時にキラキラだったペーペー社員は、30歳になってもペーペー社員扱いされるのが筋である。
いくらこの3名に能力差があっても、役割はなかなか変えられないものだ。
10年間組織を替えなかった部署で、10年いた人は、残念ながらそのまま10歳年を取ってしまった。
これが10年だったら「あーあ」で済むのだが、20年30年と積み重ねると、危険になってくる。
20年後:(40歳+50歳+60歳)/3==平均50歳
これは・・マネージャーはどうするのだろうか。定年後再契約にして同じ仕事を続けるのだろうか。それでも5年がいいところである。
いやもうさすがに人を入れようよというところであるが、この時、
・40歳はちゃんと50歳がやっていたリーダー業務ができるのだろうか。
・50歳はちゃんと60歳がやっていたマネージャー業務ができるのだろうか。
ということで、10歳年を取るというのは、平均40歳で火が付き出す。あと10年経ったら組織が継続できないギリギリまで行く。
ここで困るので、中途採用を採ろうとするが、このときに40歳を取っても若返りしにくくて展望が持てない。30歳くらいで経験5年くらいで活きがいい人いないか・・。
いるわけがない。だから、業界内転職で30代、特に前半あたりはかなりモテる年齢になると思う。
ほとんどの企業が結果的に、「未経験でポテンシャルのある20代」を探すことになる。
結果:20代x複数+(40歳+50歳+60歳)
そう、「30代のいない組織」の出来上がりである。こういう会社、きっと大いに違いない。
ただ、ここからは「社員教育」の質が問われることになる。
これまで、内輪でぼんやりやっていた(40歳+50歳+60歳)が、ちゃんとお仕事を20代に渡していけるところまで画策できるか。そして期限はじつはもう10年ほどしかない。
中小企業って、こういう長期戦に非常に弱いと思う。まずは人が集められないし、最低限の人数で運営するのでなかなか将来構想を踏まえて人が取れない。
そして、人を育てるビジョンがもともとなかったので採用もおざなりにしてきたし、いざ採用しても、ベテランが若手にマウントを取り雑用しか押し付けない、ということもよく起こりえる。
時間は、残酷である。10年経つと、人間がみな10歳年を取る。
人間のライフサイクルで言えば、会社だって40年ほどしか持たないわけだ(20~60歳)。そして、組織の年長者から若手までの年齢差が20年もあれば、絶えず次のことを考えなければいけない。
システム保守の仕事をしているけど、システムも、会社も、同じようなもんだなと思うところだ。ライフサイクルが厳しい。