orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

YouTubeがオワコン、という現象から読み取れること

 

もう随分、YouTubeでは稼げなくなった、とたくさんの有名YouTuberが騒ぎ初めて時間が経った。何が起きているかを考えてみる。

もともとYouTubeにおける収入の合計は過去から今まで一緒だとする。その場合、参加者の数で割った結果が一人あたりの収入額だ。

そうすれば、参加者が多くなれば多くなるほど収入額は減る。

1つはそうやって考えると簡単である。YouTubeで動画を作って公開する人の絶対数が増えてしまったのだ。過去は動画を作成し公開することが特殊スキルだったのに、今やスマホとWiFiさえあれば誰でも参入できる。

もっと懸念点がある。YouTubeの市場規模が大きく儲かる、という噂を聞きつけた実力者、つまりテレビに出ていたような芸能人が多く参入してきた。もともとテレビで戦って勝ち残った人たちだから、いきなり強者だ。どんなにYouTuberがこれまでチャンネル登録数を伸ばしシェアを持っていたとしても、そこまでの強者が実力を発揮してきたら簡単に勝敗がひっくり返ってしまう。

「誰でも簡単に参入できる」「実力のある人が乗り込んでくる」こういった現象を、参入障壁が低い、と呼ぶ。どんなに市場規模が大きくても、参入障壁が低い業界は、非常にビジネス上のリスクが高い。レッドオーシャンとも言う。レッドオーシャンに勝者がいないということではない。勝者は「一番お金を持っている人」になることが多い。お金を持っている人が、非常に優良なコンテンツを、無料同然でばらまくのだ。そうすると競争相手は悲鳴をあげる。こんなに頑張って作ったのに、横で廉価で売られてしまうと誰も買わない。

YouTubeに関しては、もはや大きな資本を持った企業の独壇場になりつつあるが、レッドオーシャンそのものとなっている。誰でも動画配信!という一方で、大手しか勝てない。これでは、ほとんどの人がやめようとなってもおかしくない。

この手の話はYouTubeだけではない。例えば、ベンチャー的な発想で珍しい健康食品を発明したとする。それがメディア等々でバズり、会社を起ち上げるくらいの大きな売上を達成したとする。**そこから**大企業が、全く似たような効用の健康食品を作ったり、もしくは同様なことをやっている企業を買収し、そして大企業の資本を使って大規模なCMを打つ。後出しジャンケンである。そうしたときに、大企業のブランドが先にあるので、当初のベンチャーは吹き飛ばされる。大企業は、絶対勝てる勝負となる。あのXX社が手掛ける・・と言って売るし、有名芸能人を起用するしで、勝ち目はない。

当初のベンチャーができることはそんなにない。固定客をどれだけ掴むかということ。当初の成長段階にできていた品質を絶対に下げないこと。そして続けること。短期的に競争に勝てないからといってすぐに降りてしまうと、大企業の思うつぼである。丁寧なコンテンツを継続的に生み出せば、だんだんと大衆にブランド価値が認められていく。そうすれば、時間の経過とともに再度成長軌道に乗ることも十分にある。結局は「良いものが良い」からだ。

一方で、競争に焦って人目につくような、インパクト重視で中身がないものを乱造し、自滅していくこともすごくよくある。これはブランド価値を下げる。せっかく付いていた固定客も逃げる。

今、YouTubeがレッドオーシャンだとして、今後残るのは、こつこつと良質の動画を作り続け固定客を囲い続けられる人だ。そのうち「YouTubeは儲からない」が浸透し、誰も市場参入しなくなったころに再度チャンスが来る。

この状況はまるで、ブログみたいなものである。ブログだって、アフィリエイトで盛り上がった時代はあったが、今や、ブログで儲けるなんてオワコンと言われている。この状況でもまだ立っていられる人こそ、勝者になりうると思う。どんな世界でもそうなのだ。