orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

1位以外は意味がない世界

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1位以外は意味がない

ここ最近、1位以外は本当に意味がないんだと気づかされるシーンが多いです。

LINEが大胆に、音楽配信サブスクリプションのシェアを取りに来ました。

 

av.watch.impress.co.jp

音楽配信のLINE MUSICは、1月20日にサービスを大幅にリニューアル。新たに無料ユーザーでも全楽曲を広告なしでフル再生可能にする、業界初の独自フリーミアムモデルを導入する。有料契約者との違いとして、無料契約者は同じ曲を再生できるのは1カ月1回に限られるが、再生できる楽曲ラインナップに違いはなく、約5,900万曲の全てが対象。

 

音楽配信の市場はいろいろなプレーヤーがいますが、ここに書いてある通りフリーミアムでのサービス参入は史上初です。

条件付きながら約5900万曲全部聞けてしまうという。

この前、PayPayも破格のキャンペーンを発表しています。

 

www.itmedia.co.jp

スマートフォン決済を手掛けるPayPayは1月17日、対象の飲食店などの支払いで「PayPay」を利用した際に、購入金額の40%を還元するキャンペーンを実施すると発表した。2月1~29日に、全国6500以上の飲食店と21万台以上の自動販売機での支払いを対象に実施する。全国展開するチェーン店と協力し、キャッシュレス決済の利用者拡大を狙う

 

このような、先行投資を大胆にするモチベーションは「市場において1位以外は意味がないんだ」ということなんだろうなと思います。健全な競争、なんていう概念はもう過去のもので、競争に勝てるのは1社のみ、という厳しい世界です。

 

考察

昔のように、業種がきっちり分かれていたころは、独占禁止法なり公正取引委員会なりが機能していたように思います。健全な競争がないと価格が固定化し消費者が損をするというロジックです。

しかし、デジタル化によって業種の定義があいまいになりました。やっていることが複雑すぎて各社のサービスをカテゴライズするのが難しくなっています。

一方カテゴライズをあいまいにして一言で〇〇市場といったところで、そうすると市場の中にはたくさんのプレーヤーがいることになってしまいます。

そうすると、競争は健全である、ということになってしまいます。市場参入は簡単であるから独占状態ではない、という考え方です。

つまり、市場が極度に細分化されてしまったために、狭義においては独占が起こりやすくなった。広義においてはたくさんの競争が生まれるようになりました。

狭義なのか広義なのかとなると、解釈の違いになってくるためになかなか法制度を整えるのは簡単なことではありません。その結果、狭義での独占、ということが起こりやすくなってきたのではないかと思います。

いわゆる、1社総取りの世界です。

例えばパブリッククラウドの世界では、アマゾンとマイクロソフト、Googleなどが覇権を争っていますが、細かくみていくといろいろと事情が変わってきます。Office製品ではマイクロソフトのOffice365が一強です。ビッグデータの世界ではAWSのRedShiftに対してマイクロソフトのSQL Data WarehouseやGoogleのBigQueryが猛追しています。仮想マシンの世界ではもちろんAmazon EC2が一強。サーバーレスでもAWS Lambraが強い。このように、市場を細分化しつつ、その分野では一強という世界をどのプレーヤーも狙っているように思います。

新しい市場が生まれる際は、政府も競争原理を重視しますので、参入障壁が低くなることを目指しますが、実際に中で起こっていることは狭いゾーンでの総取りゲームでしょう。

こう言った見方をしていくと、各社が赤字を出しながら、何を得たいのかがわかります。市場が狭いとはいえ1位の座を固めてしまえばどのプレーヤーも手出しができなくなるからです。例えばメッセージングの世界でLINE以外を今から使おうという発想は出てくるでしょうか。Twitterは?YouTubeは?NetFlixは?iPhoneは?・・ということです。ニーズが続く限り永遠に富の源泉になるのですから、市場が固まっていないうちが勝負だということです。

これは逆の見方をすれば、大金をつぎこんで取った市場に成長性が無い場合、その投資は丸損になる可能性もあるということになります。そうやって過剰投資によって立ち行かなくなった会社がいくつもいくつもここ数十年に目撃しましたけれども、今起こっている先行投資ブームは、各社絶対に勝つという目論見があるのでしょう。

 

新規事業の攻め方

今回の話は「ブルーオーシャン戦略」に近い話でしょう。

 

[新版]ブルー・オーシャン戦略

 

一見レッドオーシャン、つまり競争相手の多そうな世界でも、よくよく突き詰めてみるとここだけは誰もやっていない。そこに集中投資を行いその分野では一位になる。一位の座を固めた後もどんどんPDCAし、もう他が入ってきても全然隙間がないくらい改善しておく。

外部からは競争しているように見えても、実は中身は独占状態。

そんなやり方が、現在のビジネスを勝ち抜く根源的なルールなのかもしれないな、と思ったのでした。

何かを始めるなら、「誰もやっていない」「マニアック」「でも実現したらたくさんの人が使う」ですし、もしそこが取れたら、あとは徹底的に集中投資して市場を広げること、ということです。