orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

不況はまずSaaSを直撃し、そしてIaaSをじわじわ削っていく

 

日経の記事。

 

www.nikkei.com

高成長を続けてきたクラウドコンピューティング基盤の市場に変調の兆しが出てきた。7〜9月期は市場の成長率が3割を下回り、最大手の米アマゾン・ドット・コムは採用凍結に動く。金融引き締めによる景気後退やインフレの長期化を警戒する顧客の倹約姿勢が「不況に強い」とされるクラウドにも影響を及ぼし始めた。

 

クラウドが不況に強いって!?、そんなわけあるかいな。

だって、使いたいときに使えて便利で、使い終えたらすぐ解約できる。それがクラウドの特徴でしょ。ということは、お金を使いたくない不況の状況では、顧客がすぐに解約に動くのが至極当然だよね。

ただ「お金を使いたくない」になるのがまずどこに行くかと言うとIaaSじゃない。SaaSの方が最初だと思う。顧客がIaaSを直接使うより、何らかの有料のWebサービスをSaaSの形で大量に契約していることのほうが多いと思う。だって、今の時代OSから構築してそこにソフトウェアを入れ、そしてテストして何年も使うようなクラウドの使い方より、何らかの業務要件があってすぐに使いたい、というSaaS的な使われ方の方が規模が大きいよね。その辺の学生だって、AWSのEC2を直接契約はしてないと思うけど、EC2を使ったWebサービスの1つや2つ・・いやもっと、使っているはずだよ。

その、Webサービスがね、不況になるとみんな節約し出すでしょ。支出を抑えるなら毎月の金額を減らす、つまりサブスクリプションの解約が先に走る。今まで何を使っていたか急に棚卸し出して、すぐに解約しなさいって指令がどの会社も飛ぶはず。どこかの会社のように人を切るより、先に固定費削減に動くのは当然でしょ。

そしたら、SaaSの会社はたまらんと、SaaSを動かすために使っていたIaaSのリソースを解約し出す。人が増えているときは過剰にリソースを契約する傾向にあるので、少なくともスマートに、適切に量を調節しようとする。上記の通りサブスクリプションの解約が増えるということはリソースは減るしかないからIaaSの契約は減らしていく。

で、困るのはIaaSでね。確保した物理機器がだぶつくことになる。これらは既に調達済みなので、使われないともったいない。保管しておくだけの鉄の塊になっちゃう。今後何が起こるかというと、きっとキャンペーンでもやると思うよ。長期契約するとすごく割り引くとかね。とにかくデフレ圧力がかかりまくる。ただ、これがどれくらい続くのか読めないので下手に大安売りもできない。だからとりあえず、求人を止めて人件費を抑えていこうというところまでは来たんだろうね、きっと。

クラウドの業界全体としては、きっとここから、「使わなくてもいいサービス」「過剰な設備」みたいなものが淘汰されていくと思う。クラウドベンダーにしたって、毎年毎年新しい機能を追加していくのは流石に無駄が多かったと思うよ。だって、あんまり使われなくてもすぐにサービス中止とはできないでしょ。そうすると利用効率が悪くても人を張りつけていないといけない。特に不況時においてはそう言った、マイナーなサービスがどんどん閉じられていき、必要不可欠なIaaSに近いサービスや、人気のあるPaaS類に資源を集中していくんじゃないかなと思ってる。

年初は円安で日本国内が大変になるところまでは読めていたけど、よもやアメリカ本体が不況型に染まるとはね。時代の変化が激しくて追い付かないよ。