ITの内製化が進んでも、業界構造が変わらない理由

 

ここに、SES・多重請負の悪いところがたくさん書いてあるけれど。

 

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私も15年前に、SESの自分の立場を呪い、元請に転職した人間だ。1度きりの転職だがここでエスケープして正解だったとは今でも思う。そのときに「どうせSESや多重請負の構造などジリ貧だ。いずれ滅びる。それなのにここに長居したら未来はない。」と決めつけて、出て行った。

その後はどうか。残念ながら、ちっとも無くなっていない。もう15年だ。

今「この業界は内製になるだろう、だからSESや多重請負が無くなる」という呪いをかけたところで、それはちっとも説得力がない。だって、後ろを振り返ってみても未だに、多重請負にしろSESにしろ、その世界観は崩れていないのだもの。

そもそもの話として、SESや多重請負の構造は小泉改革が作ったものではない。もっと昔、1990年代から根付いていた。パソコンがオフィスに入って来たのもその時代だ。1990年代はパソコン導入から始まり、社内LANを経てインターネットに終わったが、その当時の時代の変わり方を生で見られているのは大きい。そして、ITとはいつでもどの会社にとっても、「社外から買う道具」だった。むしろITとは言わず、OA(オフィスオートメーション)とも言っていた。ITという言葉が盛り上がったのは2000年のIT革命だ。

社外から買うという文化は1980年代のOAの普及が始まったころからなので、日本の会社が外部からITを買うのはごくごく自然だ。2000年ごろには基幹システムのオープン化ということで、社内にも情報システム部門を組織して、今のDXのようなことに取り組んだ。しかし結果を出せず、多くの情報システム部門が子会社化され、いつでも本社から切り離し可能な状態にするのが流行した。一部の子会社は既に外部のSIerに売却されたものもある。そのころのITはコストセンター扱いされたものである。

ところが、昨今のデジタル化によって、いやいや、いつまでも外にITを任せて置いたら、ビジネスモデルそのものがIT化する現代において、会社のアイデンティティーがなくなっちゃう、ってことでシステム子会社を本社に吸収したり、弱体化した社内IT部門に大量に中途採用を行い、イニシアティブを取り戻そうとしている。

というところまでは、ネットを見ていれば、わかること。

ただね、結局は内製化したところで、元請SIerがやってたことを社内で取り込むのが先で、その後の実装については、外注を頼まざるを得ない。年中開発やってるわけにはいかないので、元請SIerが人を必要としたことと同じ理由でユーザーが仕事を外注する。

この外注を受けられるところが、元の元請け経由であったり孫請けであったりして、きっと構造は全く変わらないと思ってる。内製が、社内で全部完結するっていう絵は厳しいのではないかしら。実装する人をずっと雇い続けるより、必要に応じて必要なスキルを持った人と契約してコーディングしてもらった方がいいよね、って話で。

で、この元請の機能を内製化して社内に持ったところで、これでさあ何を作るか、どうしたら経営に寄与するITができるか、みたいなところにコンサルが大量に入っていく。このコンサルというのが結局よくよく組織を見ると元請で、ああ、何も変わっとらんやん、ということになっている2022年なのである。

どうせ今後15年も構造は変わらないだろう。どの会社も、ITをコントロールしたいのであって、実装したいわけじゃないからだ。コントロールさえ失った丸投げ構造の反省に対して、コントロールできる丸投げに移っただけだ。そして丸投げされる側にいる人の仕事は切れない。なくならない。

だから、呪っても何も変わりはしないので、自分の立ち位置を変える努力のほうをした方が効率的ではないか、と私は思う。