世の中がよくならない理由、よいサービスが必要な人に渡らないこと

 

若干抽象的な話だけど、確かに世の中がなかなか良くならない理由の一つに、せっかくよいサービスや仕組みがあるのに、申し込み方や使い方がわかりにくくて手に届かないというのはあると思う。

人々はいろんなサービスを普段から使っていると思うけど、なぜそれを使い始めたかについてはあまり記憶がないだろう。そもそもなんで今その仕事をしているか、なぜ家庭環境がこうなっているか、なぜここに住んでいるか、すべてのことが結構、成り行き任せではないかと思う。その時その時に悩むと思うんだけど、ほとんど思い出せなくて、昔の自分を信じる、という文脈に入れ替わっていることだろう。

そういった選択を行うときに、最近はデジタル化が進んでいるので、申込みホームページやアプリの画面が現れるだろう。そのときに、「なんじゃこれわけわからん」となったら、実際使ってみればいいものであるにも関わらず、誰も選択しないということになる。

特に、行政関係はこれがひどくて、約款やら手続きやらたくさん出てきて、申込みのための入力も煩雑と来る。優秀な人が漏れがないようにと詰め込んだ結果だと思うが、ユーザーには大変ためらわれる。圧倒的な離脱率で、せっかくの制度が使われない。

さらに広告の問題もある。選択肢として目の前に現れたら選択するのだけど、そもそも知らない。認知度の問題だ。運命の人はいるかもしれないが、出会えなければ結ばれない。たまたま出会った中から見繕っているというのが人生である。自分は自由な選択肢の中から自由意志で物事を選んできたと皆が思い込んでいるが、実は、成り行き任せの要素が随分ある。

この「使い始めの簡便さ」「認知度」の2つは、実はサービス自体と全然関係がない。だからサービス自体はしょうもなくてもこの2つの要素に集中投資し、集めてからサービス開発するみたいな世界がある。集めた後にそのお金で他の会社のサービスを買い、本体はもはやマネーゲームになる。

今やデジタル化の伸長で、ものすごくこの傾向が強まっていると思う。大量に誘導され、つまらないものを掴まされている。行政が世の中を良くしようとしても届かない。届いても誘導できない。

例を上げれば、厚生労働省がハロートレーニングという研修をやっていて、この内容がとても内容が良くて驚いた。無料で受けられるし、もし今仕事に就いていないのであれば給付金まで出る。しかも、求職活動までやってくれる。私の目から見ても有用な内容なんだけど、これがまた、受けるためにどうすればいいかよくわからず、結局はハローワークに行って相談してみたいな話になっている。

これじゃだめだ。

だから、よくわからないオンラインスクールみたいなものに、お金を突っ込んだ上で、仕事が見つかりませんみたいな話がネットで駆け巡る。個々のオンラインスクールの中身はよくわからないけど、広告にも入学の方法も洗練されているのは確かだ。

行政は、それでも要項を理解して使ってくれる人がいるから、と方法を見直すことをしないが、それは要項を理解する人が依存するだけの結果となっている。本当に必要な人には届かず、必要じゃなくてもお金が欲しい人が使っているだけの話になる。これじゃまずいということで、今度は民間に丸投げし始めた。だから今何が起こっているかというと、ポイント。ポイントだらけだ。マイナカードでポイント。節電でポイント。仕組みは民間。結果として民間の特定業者のマージンが巨大となっている。過去、なんで行政の仕組みに電通がこんなに入るんだろうと思った方もいらっしゃるかもしれないが、今回の説明でわかったのではないだろうか。使ってもらうためには、サービスだけ仕立て上げてもダメなのだ。

ぜひ、この世の中の矛盾は、わかってつきあったほうがいい。入りやすいこと・有名なことと、本当に良いサービスは、別物なのだ。