orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

昨今のIT業界事情振り返り

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一時期は、ディスラプション(disruption)というワードがIT業界に生まれ、それが他の業界にも波及した時期があった。既存の業界の慣習、市場の仕組みをぶっこわす、全く新しいやりかたを別の業界が持ち込み席巻するようなやり方だ。ただ、それだと壊される方はたまったものじゃないので、ある時期にシフトチェンジした。DXだ。ディスラプションの特徴は初期はグローバリゼーションにあり、安い発展途上国の生産能力を持ち込むことで、形骸化した旧態依然のオートメーションを駆逐するようなことが流行った。しかし、発展途上国が急激に成長したこともあり、それだけでは時間の問題で成長が望めなくなってしまうので、デジタルの急激な進化を発想に取り入れた。ぶっこわした後に作るウワモノは、デジタル化されて然るべきだよね、と。それを見ていた既存の業界も、壊されるぐらいなら自分たちでデジタル化してしまおうと、他の業界が乗り込んでくるより前にデジタル化を進めるようになったというのが、DXの正しい理解と思ってよいだろう。

それで、しばらくの間はデジタル分野の新製品、画期的なサービスのようなものがたくさん花開いた。新しいものを使うのがいいんだぐらいの時期もあったんだけど、最近はちょっと巻き戻ったように見える。例えばクラウドの代名詞AWSにしても、AWSサミットのたびに新サービスを出し、世間を騒がしていたものだけど、ここ最近はよく使われるサービスの深掘り、もっと使いやすく、を目指すようになったように思う。これは、他社が追い付くためにAWSの不満を洗い出し改善を重ねるものだから、放っておくと、収益の本体であるEC2 + EBS + S3の3点セットが危ないということが動機となっていると思うのだがこれはすこぶる正しい。結局マクドナルドだって、季節のメニューがありつつも、定番メニューが一番売れるものである。健全な競争原理が流れていることで、利用者としたら最も使うメニューがより洗練されていくのはうれしい。使われもしない、はっちゃけた新メニューがどんどん出てきても、実は普段の仕事には何の影響もないのだから。いいところ、テックブログがドヤって終いである。

さて、だんだんと、ディスラプションの雰囲気は終わり、着実なITの秩序ができあがっていくに従い、「何を選ぶか」が非常に重要になってきた。もうメニューは揃っているのである。新しいメニューを誰かが作ろうとしても、もうあるのである。それはもう、先を行っていて、改善に改善を重ねていて、真似しようとしてもいくつものロジックが裏で動いていて、本家には到底なれない。今後重要なのは、選択の問題である。いわゆるコンサルティングが現在花形になっているのは、ここに要因がある。

皆、投資は失敗したくない。失敗しないためにはお金を使う。今、四十代以上で売れるのは、たくさんの選択を経験してきた人、現場の人だ。どの選択肢を見ても「ウチのサービスが一番!」と書いてある。誰か、使ってみた本当のところ教えてくれ!、ということだ。もはやITの世界は、騙し合いになっている。マーケティング・ブランディング・カスタマーサクセスまで、サービス本体以上に脚色の強い世界となっている。

この辺りを把握しつつ、ぜひ昨今のIT事情を日々俯瞰して見るとよいと思う。真実なんてほんの一握りしかない。