ジョブ型風のメンバーシップ型雇用が流行して、混乱する未来が見える

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成果主義が流行った時にも思ったんだけど、成果で個人の評価を全部決めようとなり、いろんな会社で取り入れられたものの、成果自体の定義がブレブレでうまくいかなかった。

すごく成果が上がった時はすごく評価するんだけど、問題は成果が上がらなかったときだ。いろんな要因で成果が上がらなかったとして、全社員の収入を著しく下げたときに、それがまたモチベーションの減衰につながり大量退職みたいな話にもなってしまう。だから、何となく成果が悪かった時は前年並みで来年頑張ろうみたいなぬるい話になり、じゃあ成果って何なのみたいな話になる。

特に、成果が経営戦略や外部環境によるものの場合、たとえばリーマンショックやコロナ禍、戦争みたいなものの場合に、個人に成果の反映をするのはどうかみたいな話になりやすい。だから成果主義はうまくいかなかったと思う。

最近はジョブ型雇用が流行していて、こういう仕事をお願いするから報酬はいくらね、みたいな話を約束、約束ができない場合は外す、みたいな方法が良いとされるようになった。成果のような相対的なものではなく、もっと日本語で期待する結果を第三者に認識可能なものにするという方法だ。もちろんこの発想の評判がいいので、大企業中心にジョブ型雇用を採用する、という話が相次いだ。

心配しているのは、きちんとジョブ型雇用をその名の通り運用できるかどうか、ということだ。結局は、表面的にはジョブ型雇用でも、やってることはメンバーシップ型雇用じゃないのか、ということが起こりえないか。

結局、新卒一括採用を実施。新卒は半年間の研修。結束を固め各部署へ配置、みたいなことは延々とやるのではないか。仮に退職者が出た場合、上司のマネジメントが悪いんじゃないかみたいな話になるのではないか。会社の一員として一致団結していこう、例えジョブ型に変わっても、会社への忠誠心は重要だ、ワンチームだ。飲み会で親睦を深めよう。そんな日本型企業運営の形は全く変わらないんじゃないか。

ジョブ型であることにより転職がよりやりやすくなり、転職先でも即戦力で活躍できる、という前提に立つなら、部下が辞めるのも当然だし逆に中途採用しやすくもなるはずである。

しかし、日本の強い解雇規制は相変わらずなので、ジョブ型前提で作られた会社の期待に添えられない社員は、「低給のジョブ」を与えられ給与が大幅に下げられたまま、会社に残ることになる。いわゆるぶら下がり社員の問題だが、希望退職等でベテラン社員を追い出した後は冷遇する気まんまんじゃないか、とも勘繰ってしまう。

結局解雇規制は、メンバーシップ型雇用の元本保証みたいな側面があり、一度入った会社は労働者が望む限りメンバーで居続けられるということそのものだ。この法制度に手を入れないのにジョブ型だけ採用すれば、これはジョブ型風のメンバーシップ雇用になってしまい、そもそもジョブ型が成し遂げようとしていた狙いがねじ曲がってしまうと危惧している。

 

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「年齢や社歴などに関わらず、職務に最適な人を配置でき、適所適材が進む」

「需要が大きく高度な職務ほど賃金も高くなり、労働力の流動化が加速する」

「社員が自律的にスキルアップに励み、生産性向上も期待できる」

 

これらの目的を達成したいなら、ジョブ型雇用でうまくいかなかった人たちへの例外処理をうまく考えねばならない。

仕事しないのに高給取り、を抑制できるのはいいが、それだけでは限界がないか。もしかして、低給を提示したら勝手に辞めてくれるだろう、という設計なのだろうか。

ジョブ型雇用には「メンバーシップ型雇用を継続しつつ、戦力外の社員をどうメンバーから外すか」という裏テーマがあるような気がしてならないのである。