orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

転職回数とメンバーシップ

 

採用活動に携わって思ったのが、転職回数。回数が多いと警戒する。せっかく高いお金を支払って採用しても辞めてしまったらお金がもったいない。採用して1年以内に退職したらキャッシュバックして欲しいよね。今調べてみたら、1か月や3か月みたいなレベルでは返金してるっぽいけど・・。

企業が人を雇う時に期待しているのは、このスキルの人材が欲しい、はもちろんなんだけどそれよりも優先する目的がある。ウチの会社の、このビジネスを支えて欲しい、だ。法人は人間の寿命を超えることを前提として作られているので、ビジネスは長丁場だ。どんなに仕組みを上手に作ったところでそれを支える「人」が必要になる。支える人がすぐに退職してしまっては、ビジネスが継続しないのである。

日本の会社の採用スタイルはメンバーシップ型と言われる。採用されたら手厚い福利厚生が与えられるし、気軽に解雇できないルールがある。また年功序列型の賃金体系も根強く、社員が辞めないことに随分コストをかけた制度設計だ。メンバーシップ型を背景に日本企業は成長した。日本企業は長寿命と言われる。

 

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日本企業は長生き、長寿といわれる。日経BPコンサルティング・周年事業ラボでは、世界の企業の創業年数が100年以上、200年以上の企業数を国別に調査した。日本は共に企業数で世界1位となった。世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業という結果だ。さらに創業200年以上の企業では、その比率は65%まで上がる。

 

したがって、日本においてメンバーシップ型の社員採用を企業側が目論んでいるなら、転職回数が多い人は警戒される。それはもうこの国と付き合う上で不可避であると思う。

 

一方で別の考え方もある。

一定の仕事をするのに、開始時期と終了時期を定める。期間限定の体制を作る。スケジュールを細かく決め実施。そして成果物を納めて終了。いわゆる「プロジェクト」の考え方だ。企業のビジネスを維持していくこととは別に、プロジェクトをたくさん生み出し成果を出していく考え方がある。

プロジェクトを遂行するには一定のスキルが必要だが、そのスキルと「会社に属していること」とは関連性が薄い。プロジェクトが終われば体制は解散するので、極論言えば会社に属している必要もない。協力会社から人を借りてもいいし、フリーランスが入っても構わない。企業のルールを気にせずともプロジェクトのルールを守ってもらえばいい。そんな仕事の仕方も企業では一般的になってきている。

プロジェクトを遂行する力のある人、という目線においては、職務経歴が力になる。そのときにどの企業に属していたかではなく、

・どんなプロジェクトか、またその規模
・プロジェクト体制の中の自分の位置
・こなしてきた業務の難度

この辺りが重要な観点となる。プロジェクトの期間は短くて半年、長くて2年程度であるから、その期間にいてもらえばいいだけである。

そう考えると、極論フリーランスでもいいし、プロジェクトへ派遣するようなタイプの会社を転々としてもいい。

IT業界でもよく見られるこのようなタイプの人は、ジョブ型を先取りしているのかもしれない。

 

ということで、キャリアを考えていく中、自分はメンバーシップ型での就職を希望するのか、それともプロジェクトを渡り歩いてジョブ型の中で上るのか。どこかで決めた方がいいと思う。案外、一社で出世し安心していたが、キャリアの棚卸をしてみると他社では通用しない、と言う話もあるのでどちらがいいと言う話でもない。

転職回数が多い人はもう後者のジョブ型の考え方に頭を切り替えて、プロジェクトを渡り歩いてキャリアアップしよう、と考えるのが自然なようである。