orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

イチローさんの気持ちがよくわかる

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メジャーリーグで上り詰めた野球選手が、日本の、しかも女子の高校生と野球をすることに何の意味があるのかと思う人はいると思いますが、私はイチローさんの気持ちがよくわかるのです。

 

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 大リーグ・マリナーズなどで活躍したイチローさんが率いる草野球チームが18日、ほっともっとフィールド神戸で、女子硬式野球の高校選抜チームと対戦した。イチローさんは「9番・投手」で先発し、17奪三振の力投を見せ、試合後には女子選手たちの質問に応じた。

 

私もイチローさんとは年齢が近いですし、仕事においては今もってプレーできる技術があります。むしろ今でもプレーヤーでいなければいけないIT業界大丈夫かとは思いますが、スポーツと違って研ぎ澄まされた体力は不要なので、まだやっていられてはいます。イチローさんほどの鍛錬であれば、まだ超高校生レベルであればまだねじ伏せるぐらいの体力もあるということでしょう。

で、別に、楽しいだけで試合をやられたわけでは決してないと思います。今まで経験したことについて、言葉で伝える機会はまだまだあるかもしれないけど、目の前で見せてビジュアルとして教材になる時間はごくごく限られる。そんな判断でしょう。

これが、痛いほどわかる。個人的に若い人に指導する機会がたまにありますが、一人ずつ教えているともう、山のように教えたいことがあって、途方に暮れることがあります。今日一つこれを教えてもそれだけではピンとこないだろう。あれと、あれと、ついでにあれを教えないとこの技術の意味はわからない。そんなことばかりです。そして、一人やっと形になったかと思いきや、簡単に転職していってしまえる世の中でもあり、どうやってこの経験をもっと多くの人に伝えて行ったらいいのか、最近は考えることが多くなりました。

どこかでプレーヤーに見切りを付けて、プレーヤーは若い人に任せると踏ん切りをつけ、多くの人に同時に体系立てて教えるようなことを、計画立ててやらなければいけないんじゃないか。例えば私が二十年かけて理解したことを、今の若い人は二十年かけて理解できるかは未知数なわけです。あまりにも効率が悪い。たくさん世の中に教材がありますが、その教材が自分が伝えたいことをカバーしているという状況ではないし、間違った情報もたくさんある。

新しい技術があって、それを学んで新しいビジネスにする、なんてことはこれまでもやってきたのですが、今後それをやってもどうも若い人達をメンバーシップにするのが難しい。なぜなら、教育しないと参加できないからです。新しい技術に対して。

まず教育し、ある一定水準にしてマンパワーを確保する。そこからビジネスを構築し、スケールアップしていく。今後こんな順番で物事を動かしていかないと、せっかく新しいビジネスの種を掴んでも、自分一人でしか踊れず、そして年齢から考えて持続性がない事業になりかねない。そんな危機感はあります。

イチローさんも、プロ野球などで優秀な選手一人一人に教えていても野球文化全体の底上げは難しく、多くの人とプレーを通じて自分の経験を多くに伝えていきたいという欲求があるのではないかな、と勝手に想像しています。

四十代後半までプレーヤーで居続けるために、明らかに必要ないくつかの項目があり、そこを早く伝えてあげると若い世代も成長曲線が違うことがわかっているのです。

それをいろいろと迷って学習していったら、たどり着けないかもしれないし、間違った方向に学習を重ねてしまうかもしれない。気づかないというのはリスクです。自分は二十年で気づいたこと、普通に生きていたら二十年かかっても、もしくは気づけないままでも不思議じゃない。

私も同世代として、たくさんの人に、今まで得た経験を伝えるフェーズに入りつつあるということを、イチローさんの冒険を見ながら痛感したのでした。