orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

作業を行うときは必ず手順書を用意して実施しないといけない?

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技術者とは何だ?という疑問については、この業界に入った二十五年くらい前からずっと突きつけられていると感じています。

十五年前くらいでしょうか、現場で論争となったことがあります。

 

・作業を行うときは必ず手順書を用意して実施しないといけない。

・技術者は、手順書がなくても問題を解決することができる。手順書がないと作業ができないなんて技術者じゃない。

 

この二つ、ぶつかるんです。平常時は前者が鉄則です。一方でトラブル対応時には後者が求められることもあります。緊急も緊急、というとき。

若手には手順書を作成させ、何をやるかレビューしないと任せてられない、と口を酸っぱくして指導します。ところがトラブルが起こった時に、手順書を作る暇もなくすぐに対応しなければいけないときは現実としてあります。

何かのトラブル対応の反省会だったときに「手順書を作らず作業していた」というのが反省点に上がったときに、対応した技術者が言ったんですね。「手順書がないなら作業できないなんておかしい!、緊急時の対応で技術者が手順書がないときに直接技術を振るうのは悪くない」と。

当時、鬼のマネージャーだった現場の社員が「それは一理あるかもしれない」と一度議論を引き取ってしまったためにメンバーがもやもやしてしまったのをおぼえています。普段のルールとは違う話だったためです。その際の議論は打ち切りとなりました。彼も一歩も引かなかったこともあり。一方で、その技術者は現場から去ってしまったので、ガチガチのルールだった現場に嫌気が差したのかもしれません。

先日のみずほのディスク障害にしても、障害対応の際にデータセンター切り替えのための手順書を作成した時間の存在が記されていました。金融系のデータセンターだとこの辺りのルール適用が厳格だと思います。何をやったかの痕跡を残さないと、後々検証できなくなるので納得はできます。

さて、手順書がなくとも作業できる技術者は確かに技術を持っている必要があります。誰にも手順をレビューしてもらわず自分で判断するのですから当然です。その域まで技術力が達しているというのはある意味、評価ができるでしょう。

一方で、もし技術者単独で、手順書を残さず作業を完結した場合は大きな問題があります。どういう作業をしたかが残らないという点です。そして作業した技術者自身も作業内容を忘れていくのです。過去作業したかもしれない、ということすら忘れるので、作業しながら作業した内容をログとして手順書に残すことはやった方が良いと思います。

その手順書の存在が作業をしたことの形跡になりますし、また未経験者や技術力が足りない人への説明資料ともなります。

こう考えると、手順書は2つの性格を持つこととなります。

①作業前に、第三者が作業内容に不備がないか確認し、作業をより正確なものにすること。

②作業中の内容を手順書に正確に記し、作業履歴、振り返り、教材など、資料として使うこと。

もしその現場に第三者がいなければ、自分で作った手順書をそのまま作業するわけですから、①のように事前に手順書を作ることは無駄だ、と冒頭の手順書なく作業した技術者は主張したわけですね。

しかし、②の役割は否定しませんから、上記の場合でも作業と同時に手順書を作成するなど、手順書は残すべきでしょうね。

手順書はどんなシステム運用の現場でも存在し、ファイルサーバーに保管されているのでしょう。そしてその現場のナレッジとなり、「あの作業昔やったよね」というときのライブラリーとして手順書が活躍します。ただ、手順書が今一つの精度であったり、昔のバージョンのものだったりで、確実に役に立つとは限りませんが、やっぱりあるとないとでは現場の人々の仕事の精度はかなり変わります。したがって、作業しながらでもいいので、残してあげるといいことだらけ、ということです。

 

ふと、十五年前の「技術者とは手順書なく作業できてこそ、ですよね」という言葉を思い出す機会があり、今だったら私はどう話したかな、と思って書きました。

手順書?常識でしょ?、なんて言わず、なぜ必要かちゃんと言語化してみるのは、今後の後輩たちの育成のためには必要なのかもしれません。

当たり前、では伝わらない。