orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

RPAは「広義のAI」なんてとんでもない

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RPAとAIは全く違う概念

共同通信経由でこんなことを書いてもらったら全国に誤解が広がるのではないかと思う記事です。

 

this.kiji.is

AI(人工知能)は様々なシーンで使われることが多くなり、スマートスピーカーや自動運転、深層学習などの言葉がメディアを賑わせています。働く個人にとって、最も影響があるのはRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)というツールです。間接業務を自動化する広義のAIの一つと捉えられ、提供側へ問い合わせが殺到しているそうです。

 例えば、インターネットで必要な情報を収集・統合してシステムへ入力する作業や、財務レポートの作成など標準化された業務プロセスを自動的に行うこと、さらには過去のやり取りを学習して、顧客からの問い合わせなどに対応することもできます。

 しかし、AIは神様でもマジックでもなく、RPAも多くの企業で成果が出ていません。

 

AIを少しでも勉強してきた方ならわかるはずです。RPAは広義のAIでもなんでもありません。そんなに広義にAIを使われたら、普通のコンピューターシステムでもAIに含まれてしまいます。むしろEXCELマクロすらAIになってしまう・・。

RPAはAIなんだな、という誤解が広がるのを黙って見ていられません。

 

RPAとAIの関係

もちろん、RPA自体がAIの機能を取り込みつつあるのは存じています。特に紙メディアを自動認識してデジタルデータに変換するOCRの部分はRPAにおいて不可欠な機能になりつつあります。紙でまわるワークフローは日本では顕在ですから。しかし、RPA自身の肝は、人間がデジタル上で行う繰り返し作業をプログラミング化し、バッチスケジューラや手動実行で自動化することです。これまでこういった単純作業をかき集めて担当者の仕事にしたり、SIベンダーに頼んでシステム化してもらうことが当たり前でした。しかし、RPAを使えば現場レベルでプログラミングし、効率化していくことができます。これがRPAの大きな一つの意義だと理解しています。

正直言ってRPA自体にはAIのかけらもなく、RPAで制御する様々ツールの中にAIツールが入ってきているに過ぎません。

ですから上記記事で言っている「AI」は全部「RPA」に置き換えて読まないとさっぱり意味が成り立ちません。上記記事はRPA批判なのです。

 

RPAはうまく行っていないのか

本文中に、

うまくいかない理由の1つは、他の人に引き継ぐことができない仕事はAIにも引き継ぐことはできないからです。「Aさんがいないと仕事が回らない」「Aさんの勘に頼って仕事を回している」などのケースです。

 とありますが、これはAIではなくRPAの話です。そしてこの文脈であれば、RPAがうまく行かないのではなく「現場でRPA化するのに失敗しているのはAさんが仕事をRPA化することに消極的だから」と読めます。

 

また、

528社の業務変革を支援してきましたが、最も効果があったのは「やめる業務を決めること」です。アジェンダがない定例会議、派手で凝った社内資料や「メールを見ていますか」というメールを送ること…。当たり前を疑って、勇気をもって不要な業務をやめていかないと、いくら時間があっても足りません。

ともあります。RPA導入以前に、プロセスマイニング、つまりどんな仕事をしているのか業務分析し最適化しないといけないとあります。

これはもっともらしいのですが、RPAの一つ驚くべき効果として、プロセスマイニングしなくても無理やり自動化し省力化できるという性質があります。

やめていいかどうか判断が付きかねる仕事。悩むぐらいならRPA化してコンピュータに任せてしまえばいい。この判断が正しいのかどうかは現場によっても違うでしょう。やめてみたら混乱が起きるケースもありますし、やめても誰も気づかないケースもあります。RPAが面白いのはこういった判断をすっ飛ばして自動化してしまえるというところです。

私は、「勇気をもって不要な業務をやめる」と言う言葉の裏にあるリスクも感じています。業務コンサルは言いがちなこの言葉ですが、行き過ぎた省力化によってしっぺ返しを食らう事例はあります。

 

もうその後の文は完全に業務コンサルのテンプレート的業務改革論で、どこかにRPAやAIの話がすっ飛んでしまっています。

 

 

このブログでも何度もRPAによって大企業の「時間」が削減されている様子をご案内しました。

 

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RPAを過小評価し、「それより業務分析して本質的にワークフローをモダナイズし、アジャイルな社内文化を再構築しましょうよ。」なんて言う甘い言葉に乗せられるITに疎い経営者が出てくることを危惧しています。

AI自体はまだ産業に大きな影響を出せていないことをいいことに、RPAまで過小評価するのは良いことではないと思います。

ぜひ、切り分けて、RPA、AI、そして業務プロセス改革を評価していただきたいと強く願います。