orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

就職氷河期由来の絶対的プレイングマネージャー、の転機

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就職氷河期っていう定義って少し複雑なんですが、私もその一員ではあります。初期の方ではありますが・・。

 

 

2000年手前ぐらいに社会人になりましたが、当時のIT業界って、まだまだ若かった。今のSIerも「これからはソリューション、インテグレーションの時代だ」って言い始めたのが2000年初頭でした。当時はプロジェクトマネジメントの技術も未発達で、適当に開発し適当に収めていたので、ブラック状態になる現場が続出。IT系に行くなら終電で帰るのは当たり前で、むしろ会社に寝泊まりしろ、もう3日間帰ってないや、みたいな話も普通に聞いていた時代です。

メンタル的な病気にもなりやすいし、過労も日常茶飯事だったので、さすがにまずいやろということで業界全体が不採算案件の研究に取り組み始めたり、要件定義時のユーザー側の横暴に対して対策を講じたり。そうやって問題の予防を実施することができるようになってきた積み重ねが今のこのIT業界人気につながっています。2000年初頭のITバブルの時には社会に対して失望を与えてしまったのですが、今は技術も経験も満ち溢れていて、いくつもの危機を乗り越えてきたからこそのタフさを感じます。

 

さて、こんな歴史を経て今があるわけですが、その危機の間を駆け抜けて今もIT業界に残っている人。往々にしてプレーヤーとしていくつもの失敗経験を糧に、社内でも名うての技術者になっている人が多いです。いわば絶対的プレイングマネージャー。昔のことを考えれば今はハードウェアもソフトウェアもクラウドも、そしてSaaSもあり、いろんなことを瞬時にできる。だから、究極を言えば一人で全部できてしまう。なんでもかんでも。

そりゃ、矛盾いっぱいの過去をなんとか生き抜いて来たのですから、現在の環境なんてぬるいくらいです。昔は技術情報がインターネットには無くて、マニュアルを読むかサポートに聴くしかなった。周りの人たちも経験も浅いので、自分で考えて自分で動くしかなった。ところが、今の若い世代は、環境が整いすぎているのです。むしろ情報が多すぎて、どれが正しいかを見極めるのに四苦八苦しているようです。

そりゃ、業界参入後数年しか経っていない駆け出しと、二十年来のベテランが、話が合うわけがない。同じ話をしていても深みが違うのですが、その深みを教えている時間がないのが特徴です。

ここしばらくの数年は、それでも、みんながんばれ、できなきゃ私がやるからね、という文脈で良かったのですが、なんだか気づいてみるとあまり景色が変わっていないようです。

未だ、絶対的プレイングマネージャーの位置は揺らがず、教えた人たちは、ここ最近の転職ブームでせっかく育てたのに、会社の外に出ていっちゃうのです。こりゃだめだ。

しかも、自分自身がいつまでこんなプレーヤーでいるんだろう。50、60、70と、今後もプレーヤー?。マジか?。それでいいのかこの業界。

昨日、テレビを見ていたら、ある職人が運営する職場が出てきまして、職場を切り盛りする二代目だというおじいちゃん、そして三代目を次ぐという子供か孫か、20代くらいの若い人が修行していました。

え、もしかして、このままプレイングマネージャー状態で、若い子が目の前でうろうろしてたら、こんな自営業的な状態でまわさなきゃいけない?。うーん、そんなの勘弁してほしいなあ。だって、ここ会社だし。私だってここにいつまでいるかわからないでしょ。

IT業界は多分今、社会からはキラキラして見えるのでしょうが、いろんな現場でこんなことになっているんじゃないかと想像しながら、悶々として仕事をしています。

我々、どこかでプレーヤーは卒業して、教育のほうに回らないと、いろんな経験を若い世代に伝える機会を失ってしまうのではないか。そうしたら、もしかしたら、過去の暗黒の生産性の低いITの現場が帰ってきてしまうのではないか・・って。

就職氷河期由来の絶対的プレイングマネージャー、そろそろ後ろに廻るべきなのかも。もうずっとは若くないよね。いつまでも深夜作業、しんどい障害対応の切り分け、突貫的な構築作業、顧客への親身な報告、・・・っていつまで一人でやってんの、ってね。