orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

就職氷河期の車窓から

f:id:orangeitems:20211201111827j:plain

 

就職氷河期のころ、私は運良くITの会社に引っかかって就職できたけれど、今から考えれば結構ひどい環境だったように思う。

会社からしてみれば、雇える若手など山のようにいるのだ。求人を出せば安い条件でもわんさか希望者が集まる状況において、雇った社員を厚遇する必要など全くない。

「あなたが辞めても代わりはいくらでもいるのだから」

という言葉を職場で本当に聞いたことがある。今ではパワハラだろう。そのころはそもそもマネジメントが未熟だったIT業界。未熟者が未熟者を育てる土壌であり、業界に残る人は自分でスキルアップをしていかなければいけなかった。

私は、今でも残るSES契約による他社常駐で就職した企業のオフィスには半年に一回顔を出すくらいだった。よくガチャに例えられるがまさに私は運が良かった。常駐先でたくさんの技術に触れられ仕事中に勉強ができた。特に未経験だったし、しかも当時はインターネットもほとんど使い物にならず、オフラインマニュアルが重宝した時代だった。また、社内LAN経由でたくさんの情報を見ることができた。社内にQiitaがあるようなものだ。

運良くガチャを引き当てた私は同じ現場に10年以上いることになるのだが、その間にいろいろなものを見た。

とにかく人を入れたい顧客は、ほとんどノールックで自社から人を受けれたが、その品質が驚きだった。電話対応が必要なのに、日本語で会話ができない人までいた。そもそも会話していてもたどたどしいのだが電話になるともっとだ。「お世話になっております」一つ言うのにも苦労していた。二週間で現場を退場となっていたが、私はそういう状況が当たり前だと思っていた。したがって、使えれば継続。使えなければ終了。そう、人のことを「使える」「使えない」で判断するようになっていたところから、マネジメント能力の欠如を感じるが、改善されたのはここ最近である。

また特徴として、同じ世代が、まったくいなかった。学校の卒業まで同じ年の人々と一緒に暮らしたはずなのに、彼らはどこに行ったのだろうか。実は最近までその傾向が続いていて、どうも私の世代は何かに吸い込まれてしまったようである。

多分に、私がたまたま小さい頃8ビットパソコンを与えられ、興味本位でその頃ニッチだった、ITバブル前のIT業界に入り、かつ適正があったから生き残っていられたけれど、ほとんどの未経験者はあまりのブラックさにどこかに逃げてしまったのではないか、と思っている。だから最近ツイッターで情報交換するのだけれど、今生き残っている同世代は筋肉質で、スーパーサイヤ人のような方ばっかりだと、心底思う。

私は残業が大嫌いだったし、効率よくこなすと残業が必要のない職場に長い期間要られたので直撃は避けられたが、どうも他の職場は地獄だったらしい。土日など存在せず、終電で帰るのは当たり前。そんな職場で一緒に働いた人たちは同志であり、たまたま20時くらいで仕事が終わった日には終電まで飲むのが文化だったらしい。アホかと思うけどそんな人たちを間近で見たことがある。私は帰ったけどね。むしろ残業のもととなる冗長なタスクたちをどんどん自動化し残業しない文化どころか、人余りの状況に陥り人がどんどん削減されていったけれども。

人が余っている、という文化で生き残っていくためには、他人に対して秀でることが最も重要であり、最近よく重視されるモチベーション管理や、コーチング、アンガーマネジメント、1 on 1ミーティングなど、トレンドとなっている管理手法は、一切なかった。そもそも管理すらされておらず、例えるならば、「とある戦場に集められ、鎧を着せられ剣を持たされ、さあ目の前の敵と戦いなさい。もし命を落とすようなことがあればあなたの責任だ。戦うのです。」と言ったところか。しかも組織化されておらず空気を呼んで進行方向を決めねばならず、好戦していたと思ったら自軍ごとビジネスの状況で困難な状況に陥り、戦争の状況がどうなのかもわからず撤退となることもあった。

そんな戦争のような状況を生き抜いたのに、最近では業界全体が社会から注目を浴び、極端にスマート化した。戦争どころか、どう人材を大事にしていくかで能力を測られるようになった。追加したメンバーが活躍できないときに、明確にマネジメントの責任を追求されるようになった。いや我々、そんなマネジメント受けたことないっすよ、とは言いたいけれど。傭兵上がりですぜ。行儀のいいこと言ってられないでしょうが。そんな態度の人はマネジメント失格としてむしろ切り捨てられていく。おお、今でも氷河期世代だけは戦場やないかい。

そんな時代が無かったかのように、駆け出しエンジニアのタグがSNSでは今日も踊り、スキルアップで年収イッセンマンのプロフィールを見てそっと閉じる。いや当時は、金額どうこうより生き残るのが仕事でしたよ、みたいな感想しかありません。

時代に合わせて生き残っていくだけです。褒めて育てましょう。君はできてるね!でももっとこうすればできるよ!。会社の飲み会は無し。リモート?どんどんやろう!。みたいな世界観、ちゃんちゃらおかしいけどお付き合いしましょうか。