orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

四十代が思う新人育成のポイント

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もう社会人を二十年以上やっているので、たくさんの部下指導を行ったのだが、だんだん結論めいたものが見えて来たのでまとめておきたい。

 

怒らないこと

自分のことを録画して見ることは誰もやらないので、実は自分自身のことを客観視できていない人は多い、というより全員がそうだと思う。

結構自分は、脳の中身がわかるので思考過程や感情などの情報がリアルタイムに理解できるので、自分のことを一番知っているのは自分だ、と思いがちだ。

ところが、一度録画して見てみればいいとは思うが、結構無意識下で行っている行動が多く、表情や声の出し方、仕草に至るまで、結構自分が意識していないことが多い。

特に、怒る、ということ。結構人々は気軽に行動に移してしまう。ところが、怒りを直接浴びた人にとって恐怖である。戦慄である。自分が思っているよりかなり強いインプットが相手に伝わると思って良い。

過去は、怒りもテクニックとされていた時代があったし、かなり昔のスポーツ指導は厳しくすることこそ正義とされている時代もあった。しかし、私もさんざん経験したが、怒ることで得をすること、一つもない。そう、驚くくらいない。

・怒ったら威厳が保たれる?・・・逆。威厳が下がる。

・怒ったら真剣みが伝わる?・・・怒らないと動かなくなる。

・怒ったら二度とやらなくなる?・・・やらなくなるかもしれないが、委縮してできることもできなくなる。

本当にもう懲りた。怒ることがこんなに悪だなんて。

別に指導したけりゃ、静かに伝えりゃいいんですよね。それでも再発したら、再度言う。それでもダメなら、ダメなことを伝えた上で話し合う。

どこにも怒ることが入る余地はない。

単に心を殴るだけにしかならないので、怒るのは意味がない。

 

年の近い人が教えた方が良い

ご自身が二十代の時、四十代の人のイメージはどうだっただろうか。何もかも知っていて話をするのも恐れ多いと私は思っていた。で、私が今度四十代になったときに、直接新人を指導するなんてやったら、彼らはやっぱり恐れ多い。

恐れ多いとどうなるかというと、質問したいことができない。質問したら、レベルが低すぎて嫌な顔をされるかもしれない。迷惑かもしれない。いろいろ考えちゃう。

この点、年が近いと障壁が下がる。もうそれだけで、四十代の出る幕はない気がする。出来るだけ年の近い先輩を付けて指導させると、仮にその先輩のスキルが超優秀ではなくても、新人にとってはありがたい存在となる。

新人もいろいろと標準的な装備を手に入れてから、多分私とは話したいと思っている。

いきなりスライムの存在である新人が、いきなり竜王と対面したら、そりゃあ緊張の方が勝っても普通か。

組織によって新人と周りの体制はいろいろあると思うが、できるだけ、年の近い人を指導役に添えた方が効率的だ。

 

上司から話しかける

新人、めちゃくちゃ不安だと思う。これからここでやっていけるか。社会人の初期につまずきたくない。できれば軌道に乗りたい。でもどうやって努力していいかもまだ曖昧。

周りの同僚との関係も大事なのだが、上司は一番大事だ。上司に嫌われたら勝ち目はない。でも上司は偉い。いろんな人と話をするので知識のない自分なんかが口を挟むには時期尚早だ。いっぱい勉強して話ができるようになろう。

---とそんなことを思ってくれるのはかわいいのだが、実は新人であっても先輩であっても、等しく部下なので、変にかしこまられると情報が入ってこなくなる。新人目線の情報でも有用なことも多いし、そもそも会社の立場が違うだけで、人対人と考えると話は普通にできる。

ということで、上司は新人に、直接の仕事よりはその周辺、もしくは日常会話レベルで話しかけることを定期的にやった方が良いと思う。

 

手を動かさせる

いろいろ教えたいことがいっぱいあるのはわかる。

でも、人の話って、聴いても完全には覚えられない。

だから議事録を書くんだけど、教えたことを毎回ノートにまとめられて、家で復習されるなんて望んでもいない。

説明はそこそこに、とにかく実作業に入らせ、定型的な作業をどんどんやらせたほうがいいと思った。自分の作業内容に疑問点が出てきた時に能動的に質問させるほうが、より覚えてくれる。

手本を見せることや、口頭で指導することは、結構教える方はやったつもりになるが、受け手が受け取ってくれるかはよくわからない。特に人は、わからないときにわからないというと怒られるかもと思い、わかったふりをする。

どれだけわかったかというのは、教える方にはわからなかったりするので、それよりも本人に作業をなぞらせて、疑問点に答える方が本人の脳に刻まれていく気がしている。

達成感もあるので、座学にならない工夫は良いと思う。

 

言葉は、重い

ほんの少しからかったつもりでも、結構重大に受け取られることがある。

特に四十代で、会社でも重要なポジションについたりすると、一言の重みが強くなる。

自分が思うよりも、自分が発した言葉は重く相手に届くと思った方が安全だ。

だから、やわらかく。常にやわらかい言葉を出すように心がける。

そうしないと、想定外の方向に飛んでいき突き刺さり、余計なトラブルに巻き込まれることもある。

今の大御所と言われているお笑い芸人も、若いころはすごく過激な物言いをしていた。きっと彼らも懲りたのだろう。少しの言葉のあやで、人々が大慌てになったりして、ああ自分の言葉は重いんだと気づいていく。今や言葉を選んで話しているなとわかる。

 

 

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ここ最近、一度も怒らないぞ、と思ってる。

多分、一回でも怒ったら負けなんだと思う。

直接指導もほとんどしないようにして、年の近い人に指導を任せた。

ことあるごとに、話しかけるようにした。

見学ばかりにならないように、どんどん作業するようにメンバーに仕向けた。

そして、言葉を選び、慎重に話をしている。

 

ああ、大人になるってこういうことなのかな、と思いつつも今日書いたことは、原則、鉄則となっている。若い時の自分には全然できていなかった。むしろ最近までも不十分だった。今回はちゃんとしたいな、なんて思っている。