orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

WIN-WINの先にあるものを見た、自民党総裁選2021

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WIN-WIN(ウィンウィン)とは、かの名著「7つの習慣」における原則の一つです。自分の前には必ず相手がいるのですが、この間で勝ち負けの関係にならないこと。両方とも勝てるような関係を作ろうと言う意味です。私の中でもとても大事な言葉です。

今日、自民党総裁選2021が行われ、岸田氏が激選を制しました。一時期本命とされていた河野氏は次点となりました。

この結果や選挙戦のプロセスを拝見しながら、このWIN-WINについて思うところがあったので記事にしておきます。

河野氏は、国民には絶大な支持がありました。したがって党員票ではダントツのトップでした。しかし国会議員に対して何と三位。

ビジネスで言えば、お客様には著しく評価が高いけれども社員には人気がないという状態と似ていると思います。

このタイプ、実は私も共感できるところがあって、特にプレイングマネージャータイプで、プレーヤーとして能力がある場合にこのような状況になります。会社の外には優れた技術者として評価を受けます。この評価をバックに会社内で思ったことをズバズバ言います。自分が社内で優れているという自信があるためです。しかしそれに反発する社員も出てくるのですが、何しろ仕事はできるので調整することはしません。むしろ反発する人は能力が劣っている、ぐらいの信念があるぐらいです。

ただ、組織の長としては、このタイプは人が付いてこないんですね。一番技術のあるプレーヤーが監督になるわけではないことと同じです。社内においては実力の有無は置いておいてそれぞれの利害がありますから、できるだけ勝ち-負けの関係にならずに、円滑に付き合えるという能力が重要です。これは現場の仕事ができることとは別の次元の能力です。自分自身がプレーヤーになるのではなく、プレーヤーたちをうまくまとめていくミッションをやるのが、組織の長ですから。

そう、この「勝ち-負けの関係にならない」というときに、WIN-WINを持ち出す人は多いのですが、実はWINと言っている時点で勝負ごとに実はなっているのです。WINじゃなきゃお付き合いしない、NO DEAL(扱わない)という言葉があります。「WIN-WIN or NO DEAL」という話です。で、何が起きるかと言うと、NO DEALを連発して、WIN-WINの関係の人しかお付き合いしなくなるんです。

かのトランプ元大統領もこのタイプじゃなかったかと思うんです。WIN-WINではないと見るやNO DEALを連発する。そうやっているうちにNO DEALした人たちが敵になってしまうんです。相手をLOSE(負け)させたつもりはないのに、気づいてみたら同じ意味になってしまっている。WIN-WINの関係を結べた人とだけ付き合うというのは、組織の長となるには限界があると、ここまでの景色と、自分の経験を重ね合わせるとそう思います。

WIN-WINの先にあるもの。これはできるだけ、WINやLOSEを持ち込まない態度です。気に入らない人とでも真摯にお付き合いする。感情を荒げない。反対意見の人にも聞き耳を立てる。結論を急がない。自分のやり方に固執しない。ただし、自分の意見はきちんと話す。社内においてできるだけ戦いを避ける。

プレイングマネージャーなら、WIN-WIN or NO DEALでもいいと思います。自分の味方とだけ組んで、より大きな成果を上げることができます。会社の創業者もこのタイプが多いでしょう。自分に従う社員だけを入れ、会社を大きくすることができますから。

ただ、そこから組織の長を目指すなら、もう一段上に行かなければいけないんだろうと思います。それには自制心や人格の向上などいろいろなハードルがあり、全員が目指す必要はありません。だって、全員が組織の長にはなれないでしょう?。

この辺りの視点の使い分けは、自分がどうありたいかに非常に依存します。私は完全にプレイングマネージャータイプなので、NO DEAL!というより、揉めそうな人に近づかないんですね。そうやってるから人を選り好みしてしまい、社内でマジョリティーには絶対になれない(笑)。でも、ちょっとは反省して、たくさんの人と会話の機会を増やしたいなとは思っています。

決してNO DEALとは言わず、全員とWIN-WINになるというのは、壮大であり効率もよくはないのですが、今回岸田氏が当選したのは完全にこの戦略がはまったんだと理解しています。

 

www.sankei.com

自民党の岸田文雄新総裁は29日の記者会見で党役員人事や組閣で党総裁選で岸田氏に敗れた河野太郎ワクチン担当相、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の3氏を起用するか問われ「一緒に政策論争をする中で素晴らしさを実感させていただいている。党内において能力を発揮していただけるようなことを考えていきたい」と述べ、3氏を処遇する意向を示した。

 

ほら、ね。決して戦いにはしない。

調整型の岸田氏、というにはあまりにも高度なことをされていると考え、今の時代に必要なリーダーの在り方を感じます。とはいえ、プレイングマネージャーとしての河野氏のような立場も会社には絶対に必要です(稼ぎ頭として)。今回の総裁選のプロセスは組織論としてすごくわかりやすい事例であり、学ぶべきことが多いです。