orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

コモディティー化論にだまされない

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コモディティー化のお話です。

 

news.mynavi.jp

コモディティ化とは「特定の分野における商品やサービスの品質が拮抗することで、競合との差別化が図れなくなった状態」のことです。市場が画一化している状態を指す場合もあります。

多くの分野では技術力や品質を向上させることで、競合との差別化を図り、消費者に選ばれる工夫を行ってきました。しかし、現在は情報化社会やグローバル社会の発展により、さまざまな商品やサービスの差異は少なくなっています。

 

特定の仕事について、時間の経過とともに誰でも簡単に参入できるようになり、そうなると資本を持っている人が大量生産で品質の良いものを安く売るようになるので、商売にならなくなる。そういうことをコモディティー化と言いますね。

日本の企業は、コモディティー化を察知するとすぐに切り離し、本体から切り離す性質がありますね。そのせいで例えば家電は、あんなに日本企業が強かったのに、今は中国製品が大量に店に並んでいて普通に買うようになっています。アマゾンでも検索すると知らないブランドの製品が大量に並んでいますが、ほとんどが中国企業だと言われています。

成長しない分野と見るや外に切り売りし一時的にキャッシュを得るものの、それを成長分野に向けるといいつつ結局成長しない分野に割り振ってしまい、企業が弱体化していくなんてこともよく事例としてあります。

コモディティー論とM&Aの話は結びつきがあり、企業が成長していくためには、成長分野に投資し続けるしかないと言うロジックが日本を席巻していて、今もその価値観はあるように思います。

しかし、私はこのコモディティー論、非常に疑問を感じている一人です。

家電の例で言えば、ダイソンは一見高価な価格帯ですが、掃除機や扇風機、空気清浄機の市場で新しい価値を作り出したことは誰しも知るところです。実は誰もがコモディティーと思い込んでいる市場は可能性があると感じています。参入障壁が低すぎて誰も儲からない、と思っているからこそプレイヤーが増えない(むしろ減る)のです。

誰もが差別化を図るのが無理だ、と思っているからこそ、誰も差別化の努力をしなくなるのです。そこで差別化の方法を見出せば、成熟し過ぎたと言われる市場を総取りし、新しい成長分野を見出すことができます。

この考え方は、個々人のものの見方にも応用することができます。よく転職する会社を見つけるときにネットの口コミや噂を探す人がいますが、これは辞めた方が良い。会社の中にもたくさんの人がいて、ポジティブな人からネガティブな人まで揃っています。その中のネガティブな意見だけを見て会社を判断するなど愚の骨頂で、逆にポジティブな人は会社の意見などネットに書きませんからね。

コモディティー論も、勝手に経済評論家が言い出しているだけで、製品の専門家を差し置いて経済メディアに乗せられて経営層が勝手に判断するケースも散見されます。

一方で、コモディティー化を予見されて売られ切り離された部分が発展し、今や中国の製造業は世界を席巻しているのは間違いありません。

特定のビジネスが伸びないときに、コモディティー論はすごく精神安定剤になるのです。差別化できない要因は自社にあるのではなく、市場にあるのだと。自責ではなく他責にするときの都合のいい言い訳になります。

しかし、結局は、自社が市場を成長させるイノベーションを提供できないことの甘えにしかなっておらず、せっかくある程度あったシェアを一時金で手放してしまうことになってしまうのです。

いや、年々売上・利益をキープできるだけでも安定収益をもたらすのに、なぜ成長しないからってコモディティー化と決めつけ、外に売っちゃうの・・。

コモディティー化論にだまされていはいけません。どんな仕事も、アイデアさえあれば、差別化することは可能なのです。