orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

AIと人間は企業内で共存できるか

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AIが次世代のIT技術として持てはやされている一方で、どうやってこれをビジネスに持ち込むかについては、未だ試行錯誤感が堪えないと感じています。

そんな中、リコーがAIを商品化するという話を聴きました。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 株式会社リコーは17日、顧客企業から許諾を得て預かった文書や映像、画像、音声などの固有情報資産を自然言語処理AIで分析し、業務の効率化や価値創造を支援する新サービス「仕事のAI」を提供すると発表した。

 リコーの山下良則社長兼CEOは、「リコーは、OAメーカーからデジタルサービスの会社に変わる姿勢を打ち出している。今回の『仕事のAI』は、デジタルサービスへの進化の第1歩になる」と位置づけた。

 

AIの定番サービス化メニューというものは世間にはなく、先に誰が一番手になるかという状況の中、この例はかっちり商品化してあり勉強になります。

 

これまで業務に精通した人が行ってきた「問題の発見」や「課題解決策の策定」、「新たな価値の創出」といった付加価値の高い業務を、デジタルの力を活用してよりスムーズに、また人手を掛けずに、人の判断によるばらつきを抑えて実行できるようになる。

 

AIは人間の知能の模倣、もしくはそれ以上の存在を期待されるので、「顔を認識する」「人の言葉を理解する」という今最も用いられているAIの機能はほんの一部分です。人間として生きているなら、もっと考えて判断したり、新しいものを自発的に生み出すことができなくてはいけません。この点に正面から取り組んだものと思われます。

AIが本当にこれらのことができると、人手が要らなくなる、人が判断しなくても良くなる、つまり人じゃない何に判断して人間が動くことになるのかと思うと正直言って違和感しかありません。しかもAIが外部サービスによってもたらされたものだとすると、経営判断を外部のコンサルタントが行うようなものでしょうか。

AIは、人間のポンコツさに疲れた経営者が採用するものなのかもしれないな。

 

「今回のサービスは、リコーが培ってきたAI技術力と、顧客からの信頼力の掛け算によって実現できるものである。企業内の情報は、担当した人の勘や経験など属人化された暗黙知として活用されていることが多い。リコーのAI技術は、素早く正確に分類および分析を行い、新たな価値を提供できる。この価値はデータを提供した企業だけに提供するものになる」とした。

 

企業の中に在って、担当した人に勘や経験が宿るのは全然よいことのように思うのですが、ここで「暗黙知」という言葉を持ち出すことにより、個人が所有する知識を何とか奪いたいという欲求が見透けます。そう、転職したら企業の中に残らないんですよね、人のスキルって。これらを社員にアウトプットさせAIに学習させることで、経営者は「絶対辞めない、忘れない」社員が欲しいんだと思っています。

これは、AIが本当に信頼に値する学習をし、判断、言及ができるなら、です。システムというのは古くなりますから、導入時点での最適化であり、5年後、10年後にはフィットしなくなります。

人間でも、希望退職やら早期退職やら、憂き目にあっていますから、AIだってそうかもしれません。過去の学習しすぎると、最新の状況の変化を否定するかもしれない。老害AIの誕生?かもしれません。

 

AI自体が人間の模倣を目指している中で、じゃあ企業の中で、人間とAIはどうやって共存していくの?、という哲学がそろそろ重要になっていると思います。その部分を自動化して、果たして人間は幸せになれるんだろうか。将棋の世界でもAIがどんどん強くなっていますが、果たして人間より強い将棋AIは、誰のためのもので何をもたらしているのか。

なーーんの役にも立たないことを、技術的に高度なだけでこねくりまわしていても、人間には有害なだけというオチだってあり得ます。

AIの進化は数学者に任せるとして、私はこのAIと人間の間にまたがる哲学的な課題について考察を深めていきたいなと思います。