AIはビジネス領域で何をしてくれるんだろう、って様子を見ていましたがとりあえずは私の観測範囲内になかなか入ってきません。
単純労働があるとして、その領域にAIが入ってくることはもはや不可避なんだろうと思います。昔、今もいるのかな、路上に座ってどんな年齢の人が何人ぐらい通っているか調査するなんてアルバイトがありました。結局エントリーはしませんでしたが、昔はよく見かけたな。そんな仕事は、今やAIが肩代わりできそうですよね。カメラの映像を判断し年齢や性別を判別。カウントしていく。それ自体は計算によってなりたっているのでAIでもできそうだという発想はできます。
聞いた話では、道路や建物などの劣化を、画像から判断し指摘する、なんて職人しか昔はできなかったことをAIが実装し始めているとも聞きます。とにかく画像認識が先行していて、AIと言えば画像認識みたいなところはあります。
その状況が2019年くらいで、そこでコロナ禍がやってきていろいろなプロジェクトが止まり、AIの現在地はあんまり変わってないように思います。画像認識のモジュールが良く使われるようになったな、現実でも本番運用するようになってきたな、ぐらいなものです。
ひと昔前は、AIが知識労働、高度な処理すら代行しだすと言われていたのに、何かやっていることが、小さいような印象です。
これって、「幻滅期」というものですかね。確かに、主観的にはAIに幻滅しつつあります。
決定的に思ったのが、秋に幕張メッセで行われる展示会の件。
AI・業務自動化 展【秋】とは、AI(人工知能)や、RPA・チャットボットなど業務自動化ソリューションが一堂に出展する専門展です。
企業の情報システムや経営者・経営企画、総務・人事、マーケティング、開発の責任者の方が多数来場し、出展企業と活発な商談が行われます。
感覚的にですね、業務自動化の分野にAIが入ってきたことで、ああ先進的な雰囲気がダウングレードしちゃったな、と思ったんです。
そもそも、業務自動化って、SIerの得意とする領域だと思います。要件定義から入って、業務で単純労働の部分をシステムに置き換えていく。
最近は、業務そのものをシステムによって改革していく、DXの考え方が流行していますが、要件が決まったら結局はSIしていくもんだと思っています。
要件定義の部分でデジタルファーストが重要になってきたので、ITコンサルが入り込んでいた部分に名前を付けただけです。ユーザー側も要件丸投げじゃいかんよ、SIer側も、要件丸投げられるだけじゃいかんよ、というだけの話。
で、そこに雑多にAIが放り込まれてしまった。RPAと同列に、です。
SIはシステムインテグレート、つまり目的全体を示す言葉ですが、その要素技術の中にAIが入ってきてしまった。
ああ、AIも結局ツールにしか過ぎず、SIが目的とする業務自動化の一つの部品になっただけか、という幻滅をおぼえてしまったのでした。
AI自体は、人間の仕事を奪うやら、創造性すら代替するなんていろいろな脅威論が出てきたのですがさっぱり機能せず、結局は人間がラクをするためのツールの一つになっちゃったな、と。
一時期はプロジェクトマネージャーはAIがやるからいらなくなるよ、とも言われたものでした。
しかし、そうはならないなあ。
そもそも、コロナ禍にAIが適応できない。人間の柔軟性をまざまざと感じることになりました。AIがまるで旧人類のようになってしまった。AIはテレワークできないもんな。
この幻滅期の中で、「意外とできるじゃん」が増えてくると乗り越えて普及期に入るのですが、どうなんでしょう、今のハードウェアのパワーでは、なかなかパフォーマンスを出すのは難しいんじゃないかなと思います。
AIの愚痴をついでに言わせていただくと、機械学習をするにあたって必要なデータが、「正しいデータ」じゃないとゴミAIができちゃうのがもう常識になっています。じゃあ正しいデータを作るのは誰かって、人間の地味な情報処理に頼るところがあって、もうそんな作業やっている間に、人間がSQL叩いたりして分析して統計から答えを出した方が正確だし速いんじゃないのって。
正しいデータを分類する作業ですら、AIがやってよー、と思うんですが、まだまだそれができるのは未来の話のようです。
今のところ、こんな状況のAIに付き合うより、SI自体やRPAなどの基礎技術の方が、やっただけ結果が出るような気がしてならないです。もっと、コスト破壊が進んで手軽に手元でいろいろできるようになったらでいいかな。
以上、現場の意見でした。