orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

個人のがんばり、会社の業績、そして賞与の関係性

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フィクションとは思いますが、こんなこと言う人にはひとこと言っておきたくて。

 

xtech.nikkei.com

Q. テクニカル支援で複数のプロジェクトに投入されているシステムエンジニアです。毎月、私の売り上げは3社で合計1.4人月です。現実はそんなに働いていませんが1.4倍を売り上げているのは事実です。それなのに賞与が10万円減額されています。業績悪化とのことですが、個人売り上げから考えて納得できません。

 

フリーランスならまだしも、会社に所属している身分でこの質問をしようものなら・・。千倍返しにしたいところです。

人月計算とは、仕事を時間で測る最もわかりやすく、最も誤解を生むものさしだと思っています。客側が納得すればどんな仕事の仕方や内容を踏まえなくても、一定の金額が頂けるという仕組みです。アルバイトにも似た計算方法です。

しかし、実際はその仕事によって、客側がさらに利益をあげることができないとおかしいのです。2000万円をSIerに支払って作ったシステムは、2000万円以上の利益を生み出さないといけません。そうしないと客はお金を失っただけになります。

この2000万円以上の利益を生み出すために、SIerはシステムという価値を客に差し出すのですが、これを作るに当たって、もしかしたらすでに構築済みのプログラムをちょこちょこと改変して、客に渡しているかもしれません。いや、一から作り上げたプログラムで、随分な時間や人手をかけて作ったものかもしれません。

客はシステムという価値をもらえればよくて、どうやって作られたかなんて実はどうでもいいのです。

そこで、人月です。

人月計算なんてこの考え方から言えばナンセンスです。2000万円のシステムを別に1時間で作っても良いし、むしろその方がSIerには利益が出ます。しかし顧客に請求するときに人月計算が基本だと、それなりに人手や手間をかけないと、請求する根拠が薄れるのです。20人月かかるから、2000万です、なんて計算をしていると、客に20人が一か月確保されている姿を見せないと、矛盾するのです。

だから、人の成果を人月計算で評価するのはかなりおかしいことです。やはり、

(利益 = 売り上げ-人件費ー経費)

という当たり前の計算式を用いないと、まるで評価になりません。

その結果、この企業は利益が出ず、賞与を削るしかない状況に陥っています。であれば、どこかで人件費や経費がかかっているのか、もしくは全体の売り上げが足りないのであり、全社的な賞与の削減はあってしかるべき、と思います。

もしこのシステムエンジニアが、他の社員と比べて優れた活動をした、というのであれば、他の社員に対して支給額を増やしてやるべきで、全社的な賞与の削減を否定することは絶対にできません。それが会社に属する、ということです。

また、売り上げではなく、営業活動や研究開発費、コロナ対策費などの間接費用にお金がかかっている企業なのかもしれません。黙っていれば仕事は降ってくると思ったら大間違いです。商材を生み出すためにもお金が必要です。またアクリルやアルコール消毒、テレワークなどにもお金がかかります。この場合も利益を圧迫する原因になります。

自分が頑張った、という理由だけで極端に賞与が増減するのであれば。もしあんまり頑張れなかったのであれば賞与がゼロになるのか。そうはならないと思います。賞与はあくまでも全社の利益を原資として社員に配布するものなので、会社全体の経済活動の調子によって拡大したり縮小したりします。

もし、会社の活動自体が納得できないのであれば、早々に退職してフリーランスや独立を考えれば良いと思いますが、そこで初めて営業、経理、総務などが自分が仕事をするためにどれだけ動いてくれていたかを痛感するはずです。

よりよい賞与が欲しいのであれば、やはり財務状況や成果の高い企業へ転職すること。もしくは、(自信や能力があると自負するならば)フリーランスや独立を考えること。

このコロナ禍は一時的で、また会社は復活する、と思うのならここは我慢して時を待つこと。

会社員にも、そういった経営者的目線は必要だと思います。