こいつ、使えない
なーんか、昔のことを思い出して。
私も、こうやって、「人のできない」を分析して、誰かをもう付き合いきれない、って切り捨てることをやっていた気がします。
やっていた、というのが適切な表現で、今は、「こいつ使えない」って思った次の行動が切り捨てる、では無くなっています。
「こいつ使えない」という瞬間自体は真実で、それに対する理由付けも大体あってます。初めは自分の接し方に問題があるのかなといろいろ試行錯誤するも、それでもうまくいかない場合に、こういった理路整然としたディスりに発展しますよね。
なぜ理路整然かというと、会社に対してその人を排除する理由を説明しなければいけないからです。で、私も何度か会社に説明したことがありました。一度目はいいのですが何度もやっていると、逆に、あいつは人に厳しすぎて部下を付けらんない、みたいなことに発展してきます。
そもそもどんな社員であれ、経営幹部が厳選(?)して入れた人なので、使えない、なんて判断を下しすぎると逆に反感を汲んでしまうわけですね。
サラリーマンの長い経験を経て、ああ、一緒に働く人は選べないんだなと言うことだけはわかりました。むしろ、能力やら何やらより、人や仕事に対して誠実で裏切ることをしない、いわゆる人格のほうが大事だなと言う結論に達して今があります。
使えない、その理由が発達障害だろうがグレーゾーンだろうが、その人が誠実である限りはマネージャー側がうまくその人の潜在能力を引き出してあげなければいけない。全部が悪い能力で成り立っている人はいないのだから。
次に考えること
その人のダメなところについて、第三者と論じることは無意味だと思っています。
なぜかというと、それは正しいからです。
冒頭の記事も、全部本当だと思いますし、上司側も大変です。
さて、その内容を誰かに吐き出しても無意味。だって、部下が変わることは一切ありませんから。飲み屋で他人の愚痴を言ってるのと何ら変わりがありません。
その分析は、横にまず置いておきます。
次に、その人ができること、を考えます。
もう、「できること」だけです。やらせたけどできなかったことは、まずやらせない。できることはすごく上司に取って幼稚なことかもしれない。でも一つはあるはず。それを、部下の仕事として与えます。
部下にとって、できること、を繰り返す日々にします。
そうすると、部下はできないこと、で怒られることはありません。
そんな、「できること」だけだと成長しない、って言うかもしれません。
しかし、部下はまず、「できること」に彩られた日々を送ったことがありません。
失敗体験の連続で日々が成り立っているので、失敗して当たり前になっています。
これが全ての悪循環の始まりです。
しばらく「できること」だけで日々を送らせ、かつその内容を逐一レビューし、ほめたり、もっと良くしようと励ましたりします。この日々が安定したら、次です。
「少し難しいこと」に挑戦させます。これは1つであるべきです。おそらくほぼできないからです。で、できなかったら怒ってもいいと思います。ただ、部下を怒るのではなく、できなかった仕事について何が不十分だったかに注目します。そうすれば、部下はできることの体験を十分に詰んでいますから、次にできるようになるためにはこうするということを発言してくれます。では次からそうしよう。そしてまた失敗し、とやっているうちに、「少し難しいこと」が「できること」に変わっていきます。
こうやって、できることを増やしていくような、支援的な育て方は、かなり根気が要ります。一年、二年ぐらいのスパンで考えないと、なかなか変わっていきません。
ただ、私の実績として、絶望的な状態だった人が、ある程度普通の仕事ができるようになるまではきました。
就職氷河期世代の感覚で言えば、「できないやつは去れ、代わりの人間などいくらでもいるのだ」の方がふさわしいのですが、今は時代が違います。目の前の人を大切にしないと、自分にどんどん人が寄り付かなくなります。ビジネスマンとしては致命的です。現時点で能力が足りない人と付き合う場合でも、何とかすることができることが求められていると思います。
気持ちはわかる
とは言え、私もこの境地に辿りついたのはまだ最近のことなので、気持ちはすごいわかるんです。
学校教育自体が、テストと成績によってクラス分けされ優勝劣敗になるような世界ですからね。
何で、能力の低い人が、自分の目の前にいるのか?、うん、ごもっとも。
でも、社会は学校ではないのです。目の前の人が能力が低い!、ってグチっても何の自分の得点にもならない。むしろ、その人を有能に仕立て上げることの方が、自分の評価も上げる。もし上手くいけば、ああ、この人に従っていけば間違いない、って思ってもらえます。
とまあここまで書きましたが、意地悪な人/不誠実な人/不真面目な人・・は苦手で、能力うんぬんに関わらず、一緒に働かないようにしています。文中にも書きましたが、人格ばかりは教育や指導ではなんともできません。
ちょっとなつかしくなって、作文してみました。