orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

すべての人々が「正常性バイアス」を理解しなければいけない時期に来ている

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正常性バイアスと新型コロナウィルスの密接な関係

ここ一か月間、普通ではない状況を過ごしてみて、ある人間の心のメカニズムが観察できました。

「正常性バイアス」です。

正常性バイアスとは、以下の説明の通りです。

 

正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。

自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。「正常化の偏見」[5]、「恒常性バイアス」とも言う。

正常性バイアス - Wikipedia

 

世界は、都合の悪い情報をはじめ無視しようとした。

新型コロナウィルス。

自分の国は大丈夫、あれは武漢だけだ、いや湖北省だけだ、いや中国だけだ。そしてダイアモンドプリンセスだけだ。日本だけだ、アジアだけだ、というところから、盛大に欧米にまで広がりそして発展途上国へと広げています。

この広がる過程の中で、正常性バイアスが大きな役割を果たしました。感染を広げる人に巣くっていたのが正常性バイアスです。

十分気を付ければ大丈夫、と言われていたことが度を過ぎて、いや、私には大丈夫、私の周りは大丈夫。かかっても大丈夫。いろいろな過小評価が広がりました。

結局、ここまでになってしまった、最大の原因は正常性バイアスと言えるでしょう。

逆に、希望の出るような情報に対して、過度に反応し安心してしまうことも同様だと思います。昨日、安倍首相が会見で、アビガンの話をしましたがこれに対してたくさんの人が希望を持ちやすいのも正常性バイアスだと思っています。

また、日経平均株価が一旦反発したのも、正常性バイアスが非常に強い反応を示したと思っています。これは短期間で解消するはずだ。過去の疫病騒ぎでも同じだった。日銀が買い支えてくれる。いろんなプラスの情報が増幅した結果反発とはなりましたが、状況が良くなってないまま、長期戦へ向かうのは決定的です。実体経済の悪化は隠せませんから、それとともに株価も調整されるのは不可避と言えます。

いくらお金を用意しても、この問題は医学的に解決しなければ終わりはありません。そして、それが確実に完了する見込みは今のところ経っていないのが事実です。

それぞれの人々が、自分自身に正常性バイアスがひそんでいるんだと言うことをご理解していただき、正しく情報を受け取る訓練をしなければいけない時期にあると考えます。

 

 

正常性バイアスの記事紹介

正常性バイアスについて理解を深めるために、いくつか、メディア記事を紹介します。

 

tenki.jp

甚大な被害を出した東日本大震災では、「大地震の混乱もあり、すぐに避難できなかった」「あれほど巨大な津波が来るとは想像できなかった」と思った人がたくさんいらしたことが、のちの報道によって明らかになりました。

そう話していた人々が住む地域には、大型防潮堤等の水防施設が設置されていた……、また10m超の津波を経験した人がいなかった……などの様々な要因があり、迅速な避難行動が取れなかったことも事実です。よって、一概に「いち早く行動を取れるか」「危険に鈍感になっていないか」を明確に線引きできない部分もありますが、緊急事態下で的確な行動を取れるか否かの明暗を分けうる「正常性バイアス」の働きを、過去の災害が示唆する教訓として、私たちは理解しておきたいものです。

 

www.newton-consulting.co.jp

正常性バイアスにより被害が拡大した事例としては、2003年に韓国の大邱(テグ)広域市で発生した「大邱地下鉄放火事件」が挙げられます。乗客の放火により車両内で火災が発生し、運転士や司令室の判断ミス、車両や駅の閉鎖的な構造などの問題が重なり、死者192名、負傷者146名という大惨事となりました。

鉄道会社による誘導の遅れや車両の設備不備などが被害拡大の大きな要因ですが、乗客が進んで避難しようとしなかったことも影響したと言われています。事件当時の車内の様子を写した写真では、煙が充満している車内で、多くの乗客が口や鼻を押さえたまま座っている状況が確認できます。つまり、煙が充満しているという異常事態にも関わらず、乗客は避難せずに座ったまま待機していたのです。

これらの様子から「自分がそんな危険な状態に置かれているわけがない」「周りの人も避難していないから大丈夫だろう」といった正常性バイアスによる思い込みも、避難を遅らせた要因だと考えられています。

 

gendai.ismedia.jp

甚大な被害があった岡山県倉敷市真備町では、亡くなった人のうち、約8割が屋内で発見されており、逃げ遅れて溺死した人が多かったとみられている。

「西日本で、経験したことのないような豪雨が降る」というニュースは、日本中で繰り返し報じられ、共有された。にもかかわらずなぜ、ほとんどの人は逃げなかったのだろうか。

災害心理学の専門家は「正常性バイアスが働いたからではないか」と指摘する。

 

 

われわれは正常性バイアスの中に居る

昨日の安倍首相の会見、私のブログを読んでいらっしゃる人は、「なぜ、あんなにネットでわかりきっていることをわざわざ言うんだろう」と疑問に思いませんでしたか。

あれは、日本に強く横たわっている正常性バイアスを打破するためです。

首相がわざわざ言葉に発して言うことで、国民一人一人(公務員も含む)の正常性バイアスをクリアしたいのです。

わざわざ、総理大臣の発言を否定する人は少数派でしょう。今日からのスタンダードとしたいのです。

二週間前に安倍首相が、「しかし、健康管理、ストレス解消のためにも、人が密集しないようにするなど、安全な環境の下、屋外に出て運動の機会も作ってください。」とおっしゃいましたよね。

このフレーズが、正常性バイアスの副作用で、あの三連休の忌まわしきお花見混雑を生み出したのです。

 

 

 「人が密集しないようにするなど、安全な環境の下」という枕詞が人々の正常性バイアスによって取り除かれ、「屋外に出て」が人々の頭の中に刷り込まれてしまったと言えます。

今、一番重要なことは、自分の健康を保つことを大事に考えることです。それを否定するようないろいろな自分への指示は断らなければいけません。そのうえで、社会ができるだけ動くように寄与していくこと。難しいですが人類は確実にこれを問われています。全員が、家から一歩も動かなかったら、社会は動きません。

正常性バイアスは今は、不要です。明るい情報をうのみにせず、冷静に現実の情報を解釈し、正しい行動を取り続けていきましょう。本当に明るい情報は、今やってくるはずがないのです。ただただ、慎重な行動を継続するべきとき、です。