orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

レンタルなんもしない人が教えてくれる「はたらく」ことの自由さ

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レンタルなんもしない人

普段、仕事とは何かということをこのブログでも題材にするのですが、どうやっても日本の文化、個人的な経験に縛られてしまうと思います。いわゆるライフハック的に、複雑な決まり事や常識の間を縫うようにして、他人よりもいい場所に行けないか考えます。それは前提として、今の生活を壊さないことやどうにも変えられないこと、いわゆる「しがらみ」を横目で見ながら試行錯誤していく・・ということになります。しがらみを解き放ったらもっと自由な思考ができるのではないか。

 

ということを思ったのは、下記の記事を読んだからです。

 

hikakujoho.com

2018年6月、Twitterで突如「なんもしない」サービスの提供を始め、一躍有名人となったレンタルなんもしない人(@morimotoshoji)さん。利用にあたっての条件は、 “1人分の人間の存在だけが必要なシーン”限定とし、料金は基本的に“国分寺駅からの交通費と飲食代”のみ。TwitterのDMから依頼内容を相談し、内容に承諾してもらえれば、誰でもレンタルなんもしない人さん個人をレンタルすることができます。

話し相手になってほしい、野球観戦に付き合ってほしい、試験の合格発表を一緒に見守ってほしい……などレンタルの内容は多岐にわたり、依頼内容とその感想を淡々と記すツイートも人気です。

 

何をなさっているかについては、ぜひ本文を読んでいただきたいです。

 

考察

最近、わかってきたんです。この世の中、普通に働くこと以外にも収入を得る方法が、いっぱいではないですが複数存在することに。

経営/正社員/契約社員/アルバイト、みたいな労働の物差し。あるいは株/先物/為替/不動産のような投資の物差し。普通に生きていたら収入を得るにはこの労働か投資の二択しか見えないと思います。投資で財を成すのはリスクも相当大きいので、普通は労働することを自分の最大の収入活動と捉えがちですよね。

副業の話も最近は盛んになってきていますが、これも、労働の主体である会社と自分の関係が1対1だったのが、N対1になるだけですよね。Nと言ったって、N=2がほとんどでしょう。サラリーマンやってて、あと2社以上で副業したら過労にもなるでしょう。労働の延長上なのです。

ということで、日本人の教育にしろメディアの「仕事」記事にしろ、労働の範囲を超えていないのです。投資は横に置くとすると、です。まあ、本業頑張って貯金して、それを投資でマイナスにしちゃったら無意味ですから。私も投資が向かない性格なのがわかっているので投資は禁止にしています。

さて、本論に戻りますが、労働じゃない投資じゃない収入ってものがこの世の中には存在するのです。日本人は、何かものを作ってこれを原価として考え、そこにマージンを乗せて売ることで、利益が出るとばかり思っているのですがここから誤っています。この旧来の利益の出方だけ考えると、労働という枠にどっぷりはまって出られなくなります。

労働でもない、投資でもない、新しいお金の生み方。それが、

「バスってからマネタイズする」

ということです。バズるまでは収入ゼロ。そこから、たくさんの人に知られ接点を得る。そのあとにいくばくかの対価を提示するのです。ただし対価の一単位はそこまで高額ではない。

このお金の稼ぎ方で典型的なのは「ソーシャルゲーム」です。基本プレイ無料。しかもこんなに無料でいいんですかというぐらい無料でできる。これはバズること優先ということです。徹底的にいろんな人にゲームしてもらう。習慣にしてもらう。その導線を作るために「バズる」。昨今はたくさんのゲーム会社が参入しレッドオーシャン化してしまいバズることそのものが大変になりました。しかし過去のパズドラやモンストの利益額を見れば、その「バズってからマネタイズする」ことの可能性の大きさが、労働の範囲を超えていることをわかっていただけるはずです。

まだ例があります。キャッシュレス決済。PayPayやLine Payなど、百億円のような支出を覚悟してまで、利用してもらおうと必死です。これも同じ理屈です。バズることが重要なのです。たくさんの人が習慣にしてもらうこと。その後の決済行為のうち数%でも手数料収入になれば損益分岐点は時間の問題ということです。これも、バズるためにお金を初めに払っているだけに過ぎません。

ソーシャルゲームはユーザーが直接お金を払いますが、キャッシュレス決済は店舗側が手数料を支払います。また、YoutuberやGoogleアドセンスのように、広告収入をねらう場合もあるでしょう。また芸能人が自身の知名度を生かして、ほどほどの炎上をはらみながら自身をバズらせて書籍を出したりメディアに登場したりすることで収入としていく場合もあるでしょう。

枚挙にいとまがない。世の中には労働や投資の枠を超えた、収入の生み出し方があり、特にSNSというバズり製造装置が生まれたために、その市場規模が大きくなっているという見方をしています。今の握手会を基本としたアイドル業界もそう。純烈などの健康センターというブルーオーシャンからのボトムアップ的バズりもそう。

 

結論

どうやって食っていくかということを考えた時に「レンタルなんもしない人」は、労働という概念に対して強烈に否定しているんですね。

でも「バズってからマネタイズする」ことについては、異常に忠実なんです。

 

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レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) | Twitter

 

今は収入がないということですが。これは「もう勝っている」です。どうやってマネタイズするかなんて最後に考えればいい。とりあえずバズる。

 

経済評論家の森永卓郎氏はこう言ってます。

 

abematimes.com

森永卓郎氏は「1億総アーティスト」だと言う。「当然ベーシックインカムは入れるべきだが、令和の時代には、仕事は人工知能とロボットがやるようになる。そこで日本国民は全員がアーティストになる、それが日本経済の向かうべき方向だ。私自身も昨年から農業を始め、童話作家も始めた。去年は歌人になろうとした。うちのゼミを卒業してお笑い芸人になった学生が3人いるが、全員が年収10万円に達していない。それでもすごくハッピーだ。イタリアはそうやって国を運営している。そうう"日本人ラテン化計画"を金融緩和と同時に行おう」と訴えた。

 

労働がAIやロボットへ。そしてアーティストになってバズって収入になる。このロジック、いい線行ってませんか?

労働というのはもしかして、狭い定義で思い込みさせられているのではないか。そういう考え方を持って行かないと、狭い意味での労働はどんどん割に合わないものになっていっている気がします。

「レンタルなんもしない人」が提示していることと、常識と思っていた労働の形。はたらくということを再度考え直してもよい頃かもしれない、と思った平成の終わり、令和の始まり、です。