orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です。

IT業界における下請け企業の過去現在未来の話

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底辺IT企業は『書けない』プログラマとどう向き合ってきたか、を読んだ

「あの世界は今、そうなっていたのかあ」、という文章を読みました。

 

www.megamouth.info

 

感想

私が昔いた会社は、底辺IT企業とは言わないまでも下請メインの会社だったので、10~20年前が本当にこうだったことを知っています。大量の下請案件が流通していて、それを大量の下請会社が消費していました。この文中のように、とりあえず人をあてがうことが重要であり、その中の人の品質は見事に軽視されていました。単価こそ重要。あとは本人のキャラクターが次に大事で、それこそあいさつ、言葉遣い、勤務態度などに問題なければ採用という時代でした。採用といっても正社員じゃないですよ。SESです。もちろんSESにしろ派遣にしろ、常駐先との事前面接は法的に禁止ですから、「じゃあ面談で」なんて言葉遊びに終始しておりました。もう山とも海ともわからない人が来るわけですから、一度ぐらいおしゃべりしてみないと危険すぎますし、採用される側にも一度現場を見て決める権利はあるだろうと、玉虫色の「面談」が日々行われておりました。まあ面接ですが。

あの頃は、なぜだか人がたくさんいて、ちょっと現場でうまくいかないと顧客からクレームが飛んで、「チェンジ」の名のもとに今月までねー、となって代わりに新しい人が来るという謎仕様となっておりました。若手だった私はこの仕組みは割と居心地が良くて、自分の単金が若さゆえに低いので採用されやすくよりよい仕事が得られやすく長居もしやすいということで、何となく楽しく過ごしておりました。

そのうちリーマンショックなんぞが起こり、SES契約の大幅縮小が各企業で始まったり単価引き下げ要求など下請法真っ青な怪文書が飛び交う中、私も30代に差し掛かり、あれこんなルールじゃ40過ぎたら何も見えないぞと気づいて転職したのがかれこれ7年くらい前です。あの世界はどうなったのかなあと常々心配しておりました。

結論から言うと、下請ITの世界は何も変わっていなかった。昔は、今ほどインターネットにITの情報がありませんでした。何を手掛かりとしていたかというと、常駐先のナレッジデータベースでした。たくさんの実績を有している大きなIT企業に常駐することができましたので、その会社が有するナレッジはかなり充実していました。時間があるときは情報を読み漁り、そうやって私は先輩方には一切教育を受けずに勝手に、システムエンジニアとしての知識を得ることに成功した偶然の産物です。今の言葉で言えば、「どんな要件に対しても、ググり&コピペで向かい撃つ、素手で熊を殴り続ける、よくわからないグラップラーのような存在」なんだと思いますが、まだググりがあるだけ今の人たちはマシだなと思います。一部のメガIT企業が独占していた知識もある程度はオープンになり、中小企業も技術面では競争がしやすくなりましたね。

あの頃一番しんどかったのが、「セキュリティーのためにインターネットには接続不可、モバイル持ち込み不可、でも構築して」という案件でした。ググりもコピペもなくどうしたか。電話で本社に連絡して、インターネットで検索してもらった内容を口頭で教えてもらう。あほか、やっとられん。と消耗していったのを思い出します。今でもそんな現場があるのかわかりませんが、無茶苦茶な現場というものはそこらかしこにありました。私が営業になんでこんな条件で仕事を受けたのかと文句を言うと、「それを何とかするのが技術の仕事だろう」というわけのわからない呪文を唱えて逆切れしたパイセンがいたのを思い出します。

何しろ、SESなんて請負のリスクが無力化されているので、炎上しようが何しようが案件としてクローズすれば問題ありません。それこそ長時間労働になろうものなら「工数が足りまっせん!」とお客様に言って人数を増やしてもらったりすると、営業の手柄になってしまう恐ろしいビジネスモデルです。生産性を高くすると逆に工数が減るので得にならなかったりします。そんな環境において、必ずスーパーマンがいて、文中のように人の仕事をかっさらって完成物にしたりするので、若手で生き残るのは大変なのは間違いありません、でした。過去形なのは今を知らないからですが。何もしなくても若手は数合わせで必要で、その工数が利益につながるので、教育できようができまいが知ったことではありません、でした。

時は流れて2019年。安心するフレーズがありましたので引用します。

とはいえ、最近の就職の売り手市場も極まってきて、というか底辺IT企業の実態がよく知られるようになってきて、こういうやり方をしている底辺IT企業はどこも人手不足になっている。人が足りない、というレベルじゃなくて、人がいないから物理的に出来ないよね?というレベル。

それでもアホな会社が受注するから、今度はベテラン・プログラマが駆り出されて、もう戦線が崩壊して、事業撤退するしかない。というのが実は去年の話で、今はそれでも生き残ったゾンビー(巽幸太郎風に)が何とかやりくりしている状況で、もうそれも3月末には成仏するんじゃないかな、と思っている。

良かった。ブラック企業うんぬんについては数年前から有名になっていて、IT業界イコールブラック、というイメージのために人材不足になってきているのは知っていました。昔いたあの世界は、さすがに滅びるだろうと思っていましたが、ついに物理的にできないレベルまで達したのですね。

今後、下請け前提で成り立っていたメガSIer達は一瞬困ると思うのですが、きっとまだ延命できると思っています。メガ下請けの存在です。小さいいわゆる「底辺IT企業」が解散寸前に追い込まれるとメガ下請けが吸収していくと思います。人材を採用する余力のない体力のない会社がどんどんメガ下請けに吸い込まれていくのです。最終的にはメガSIerとメガ下請けしかない世界になります。メガ下請けも人材不足への危機感は持っていますし、経験者を雇えるのは願ったりかなったりです。また、底辺IT企業の社員も上場企業の社員になれるのですからラッキー。またいわゆる底辺IT企業はメガ下請けに入社すると明らかに就労条件は良くなります。メガ下請けも伊達に上場していません。働き方改革なんぞ言う企業すらあります。そういう会社は、社内研修制度も充実してます!と言います。いわゆる傭兵育成技術に長けているのです。このように、中小下請けはどんどん苦しくなっていって、メガ下請けが焼け太りするのが今の状況だと思っています。

 

まとめ

メガSIerとメガ下請けが牛耳るIT業界・・。まあ将来のIT業界なんて8割方そうやって説明できると思いますし、AIだなんだと騒いでもそんなもんだと思いますがいかがでしょうか。私はできるだけこの構造に取り込まれないように立ち振る舞うつもりなのですが、社会状況が不安定化している2019年、どうなることやら・・です。