orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人手不足の末路

 

最近、人手不足が激しいなぁと思う。

そもそもインフラエンジニア、という一般的にはわかりにくいものに足を突っ込んでいるのもあるけれど、絶対数が少ない。その割には世間のシステム利用は拡大する一方なので、絶対に必要になる。どんなにクラウドやコンテナが伸長しようとも、インフラエンジニアの役割はなくならない。いや、理屈的には無くせるだろうと思った矢先に、ああ、やっぱり必要だなと痛感するのがオチである。インフラエンジニアが不足している現場は、畑違いの開発者のうち、誰かにインフラの役回りが渡され、気づいたらインフラ担当になっていた、なんてキャリア、山のように見て来た。

この人手不足を解消するために各社採用活動をがんばっているけれども、絶対的に経験者の数が少ない現状で、時間だけが経っているという企業も多いだろう。一方でインフラの役割は裏方なので、存分に高い給与を提示するわけにはいかない。既存の社員とのバランスが大きく崩れる採用はできないし、採用した人がフィットするとも限らない。そんなこんなで人手不足が蔓延している。

この先だが、一つ可能性があるのが、インフラエンジニアが集まる企業を、企業自体買ってしまうケース。特にSESや派遣主体の会社はねらい目だ。もう外注の仕事をやらなくていいから、ウチの会社の手が回らないところやってよ、と。一人採用することすらままならないから、十人単位で技術者が手に入るのはありがたい。そうやって、お金で解決することが増えていくんじゃないかと思っている。それぐらい中途採用で充足できない状況が度を超えている。

しかし、その手も会社の数は限られている。中途採用と同じように枯渇するんじゃないかと思っている。これは最悪だ。今は人手不足はお金で解決するという発想は一般的で、IT=外注、というのは世間に浸透しているが、だんだん外注できる会社が事業会社に囲われていって外注する先がなくなるという未来も実はあるんじゃないかと思っている。

私もキャリアのスタートはSESで常駐する側だったが、もし企業のコンピューター利用が進むと会社ごと買われちゃうんじゃないかと思ったことがあった。しかし、世代的に人数が多い、いわゆる団塊ジュニア層だったので人材の供給量が豊富で、むしろ就職氷河期のような人手が余った状態が訪れた。しかしもう四十代も終わりに差し掛かりそうだ。今や企業の主力だが、彼らが引退したら技術の伝承ができず、現場が危機になるんじゃないかと多くの経営者が冷や冷やし始めているころだろうと思う。

世間がこの事実に気づき始めたときはもはや手遅れである。お金で解決できるうちに、ということでキャッシュが潤沢な企業から先に動き出していると思う。そして未経験者もポテンシャルで採用しジョブ型で伝承が必要な仕事を広げていく。

きっと十年後くらいに大騒ぎになる。伝承が間に合わず中途採用もできず、お金は持っているけどそれで買える会社もおらず、事業だけ残って途方に暮れる経営者。人手確保に成功した企業が、そんな空洞化した事業を買い集める。

人件費はコストで利益を圧迫する、という旧来の常識を未だに引きずっている会社からだんだん痛い目に遭っていくだろう。仕事はあるのに人はいない。お金はあるのに人が確保できない。そんな未来は近い。