orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

お金をかければ子どもがよく育つわけではないことを科学的に示すためには

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年収と少子化の記事

少子化についての記事です。

 

dot.asahi.com

0~1歳児の親で、金銭的な理由から「子どもをもっとほしいが難しい」と考える人は、年収400万円未満だと約91%、同800万円以上でも約68%いることが、ベネッセグループと東京大学の調査でわかった。秋田喜代美・東大教授は「育児にお金がかかるだけでなく、将来が具体的に見えない不安も現れているのではないか」と話す。

(中略)

秋田教授は結果について、こう話す。

「公教育だけでなく習い事費用なども含め、お金がかかると考えているのだろう。少ない子に大きく投資した方が子どもの将来に有効だと、親が考えている表れかもしれない。経済的な負担を軽減する政策だけでなく、親が将来の子育て費用の展望を具体的に持てるような情報提供のあり方も大切になる。また、お金をかければ子どもがよく育つわけではないことも、今後明確に科学的に示す必要があるのではないか

 

考察

この調査の結果については現実を示していると思います。教育にお金をかければその分良い環境が得られ、将来がより良いものになるというのは普通の感覚だと思います。

気になったのは上記赤字の部分、東大教授が、お金をかけるかどうかとよく育つことには相関がない、ということを仮説として立てていることです。何を言ってるんだ、お金をかけた方がよく育つに決まっているだろう、というのが普通の反応だと思うのですがここは一歩後ろに下がり、この仮説を科学的に立証するためには、何を準備すればよいかということを考えてみます。

 

前提条件

まず、「よく育つ」ということを定義する必要があります。何がよいのでしょう。学歴なのでしょうか。生涯の所得なのでしょうか。親孝行の思いやりのある性格なのでしょうか。科学的と言う以上は、まず言葉の定義こそ必要です。ものさしを間違えるととんでもない調査をしてしまいます。

本記事には、「こどもの将来に有効」という表現が見られます。ということは、学歴で測った方が良さそうです。一般的に、学歴と就職の有利さは相関関係があります。仮に「学歴が良くても子どもの将来に有効とは限らない」と言われたら、正しいと思いますか。そんなはずはないでしょう。どの大学でも選べるとしたら、全員が東大と言うに違いありません。学歴がいい方が有利なのは明らかですし、今回のように東大教授が「学歴は有利にならない」と言っても何の説得力もないのではないでしょうか。

 

仮説

ということで、以下を仮説として立てる必要があります。

「お金をかけたからといって、いい学歴を得られるとは限らない」

 

仮説を立証するには

世帯収入と、子どもの学歴分布図の相関を見る必要があります。

相関していないのであれば、「お金をかければ子どもがよく育つわけではないことも、今後明確に科学的に示す」ことができると思います。

 

立証できるか

無理だと思います。

世帯収入が多いほど、よい学歴を得られがちです。

 

www.nikkei.com

文部科学省は28日、昨年春に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を分析した結果、親の年収や学歴が高いほど、子供の学力が高い傾向があったと発表した。家庭での読書量や親との会話が多い子供の正答率が高いことも判明した。

 

よくよく考えると上記のニュースの表現は、親の年収「や」学歴が高い、という言い方を踏まえると、お金をかけられる親の学歴も高い、ということで、学歴の高い世帯の子供は学歴が高く、学歴の低い世帯の子供は学歴も低いということを言っています。

もちろん、お金をかけなくとも必死に勉強して学歴を勝ち取った方もいらっしゃいます。あくまでも統計上の傾向であり、科学である以上数値で語る必要があります。勝負の世界ですから、昨日の日本対コロンビア戦のように、綿密な戦略で勝負をひっくり返すことはできると思います。一方で有利か不利かというのは単なる統計上の話であることは忘れてはいけません。

 

統計上のことだけ言えば、「お金をかければ子どもがよく育つわけではないことも、今後明確に科学的に示す」ことより、「お金をかければ子どもがよく育つ」ことのほうが科学的に示されています。

この状況で、何を科学的に立証したいのか、どうにも理屈があわないのです。

年収800万なら800万なりのお金のかけ方をしている、年収400万未満も、400万未満なりのお金のかけ方をしている。だからどの層も子どもを増やすのに躊躇している。この説を科学的に立証したほうが真実にたどり着くという意味では早いと思います。

 

まとめ

変な仮説を立てて、無理やり立証し、変なキャンペーンを張って行政でコストをかけないようにしてほしいと思います。みんな自分の子どもには幸せになってほしいから、無理してでもお金をかけて立派にしようとしています。あなたの子どもはお金をかけなくても立派に育つだろう、そんな意見を東大教授に言われても何の説得力もないですし、持っているお金を使わないで他の子どもと差がついていくのを平常に見ていられる親のほうがおかしいと思います。

むしろ、「教育にかけたお金は非課税にする」ぐらいのほうが効果があるのではないでしょうか。今は低所得者層の教育費を無償にしようという流れが一般的ですが、むしろ高所得者が持っているたくさんの資産を教育界に還元したほうが最終的に低所得者層へ流れていくと思います。学校が富めば奨学金制度などの取り組みが自主的にできますからね・・。何でもかんでも無料、じゃなくて、優秀な人は無償にするという取り組みを拡充したほうが効率的でコストもかからないと思います。

どうも、今の世の中、社会主義的な方向に行っていて、コストばかりかかるようになり財政がいつまでたっても黒字にならないような構造不況に陥っている気がしてなりません。お金のある方を流動化させた方がいいのに、と思います。

 

 

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