orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

今さら、システムをクラウドに持っていく話が盛り上がっている

 

最近になって驚くのだが、オンプレミス環境をクラウドに持っていきたいんだ、という案件が急増している。それって田舎の末端の遅れた土地の人?というイメージが浮かぶかもしれないが違う。知名度の高い大手企業レベルの話である。従って裾野は広く、たくさんの組織が今さらクラウドを目指し始めたということになる。

ここ10年くらいで「なぜクラウドにシステムを移行したほうがいいか」という話は既に議論尽くされ、クラウドに来るべきシステムは既にクラウドにあり、そうではないシステムはオンプレミスで今後も動かす、と思っていた。けれど現実は違うようだ。2023年にもなって今さら、クラウドになぜ持って行かなければいけないのかという議論が再燃している。議論があると言うことは、持っていきたくない勢力がいるということだ。クラウドに行けばバラ色だと言うけれど、こんな問題があるじゃないか、みたいな話が出てきて辟易する。それってかなり古い議論だよね。

この「なぜクラウド議論」がかみ合うためにはオンプレ派に対して、クラウド側の立場が必要であるが、もうクラウドは十分大きくなってしまったので色んな立場の人が生まれてしまった。クラウドと一言で言っても、かなりソフトウェアが入り込んでしまっている。このクラウドを使うと言う時に、一緒にソフトウェアも付いてきてしかもセットアップ済み。例えばAzureだとOpenAI謹製の生成AIが使えます、みたいな話もクラウドである。そしてその専門家もクラウドと言う言葉を使っている。しかし、オンプレ派が言っているのはまだIaaSレベル、インフラ基盤の話である。少なくとも今動いているシステムをそのまま動かしたい(「リフト」と呼ぶ)のに、生成AIの話なんてもっともっと先の話なのである。そもそもソフトウェアは手組みであり、要件を良く理解していて顧客思いのお抱えベンダーもすでにおり、いや基盤だけ、OSだけあればいいのに、何なのAIの話が先なの?みたいなギャップがまず、ある。

だから今必要なのは、インフラエンジニアがIaaSを語る、みたいな古めかしいクラウドの姿であり、案外そういった技術者は不足しているということだ。今ではIaaSに偏るクラウドエンジニアは、「新しい技術」にキャッチアップしない存在としてあまり脚光を浴びなかったからね。それは私もそうか。

私は昔から、クラウド事業者側にソフトウェアの領域まで握られるのが大嫌いだった。だって、クラウド事業者が勝手にサービスを変えたり止めたりするのだもの。しかも、再度オンプレミスに持っていけないパターンもある。このクラウドでしか使えないソフトウェアは、ロックオンを誘発する。そんなのダメでしょ。どこの環境でも動くアーキテクチャーを意識すれば、IaaSがベストだとずっと思っていたもの。

ただ、ここ数年は「新しい技術」の方が脚光を浴びがちで、しかもあんまりクラウドに持っていくトレンドが生まれなかったので、もう終わったのかな、細々と今運用しているシステムを保守し続けるかな、と思っていた矢先に、世界が急に変わってしまった。

私が対面に立ってオンプレミスユーザーたちにクラウドの話をするならば、決して、オンプレの場合の5年間総額と、月額運用費用の5年間総額を比べないようにと釘を刺す。クラウドにもって行く分、手間が減るので人件費が浮くはずだ。いや、クラウド離れていないので運用が不安というならば、クラウドを運用できるベンダーにアウトソースすればいい。どうせオンプレだってそうしてきたんでしょう?。もしくは自主運用していたとしても、その人たちかなり高齢化していない?。新しい人を雇って今さらオンプレ運用させるなんて、そんな人いるかな。一時期COBOL保守案件に突っ込まれる若手の話がネットでバズったけど、若手も大迷惑じゃないかな。そういうこと。クラウド化することで運用の手間を省いたら、後はクラウドができるもしくはできることを目指す若手を採用すればいいだけ。そこまで、クラウド化ってのは地面がつながっている。

まさか、こんな話を今さらしなきゃいけなくなるとは思わなかったけれど、でもチャンスだとは思っている。日本は10年間世界から遅れている、と言っても過言ではないことが今起こっているのだから。