orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

実装できる人がいない?大丈夫かこの業界

 

最近、何件かの仕事を請けて共通していることがある。頂くドキュメントが非常に良くできているということだ。なぜ作ったか。どのように作ったか。そしてどう運用するべきか。一気通貫に述べられていて読むと非常に勉強になる。

・・・それなら、このドキュメントを作った人が作ればいいじゃないか、なぜ私の手に次の仕事が来る?。しかもこんな素晴らしいドキュメント付きで。

一つには、このドキュメントとそれを実装することの価値について、読み解ける人がいなくなっている可能性を感じた。どうもベテランと呼ばれていた人たちが定年退職したり、別の仕事をし出している。かといって次世代が育っていない。ドキュメントを読みながら思うのは、書いた人は随分下の方のレイヤーのことをわかっているということだ。クラウドであればオンプレやネットワークのことまで熟知しているということ。

ところが、最近はカタログスペックというか、このサービスを使えばこれができる、ぐらいの表層の話だけで動いている人が多いので、このドキュメントを正しく読めない人が多いんじゃないのかという仮説を持った。ベテランは下のレイヤーの仕事もしながら上のレイヤーを操っているので、文書の粒度が細かいのである。

このドキュメントを受け取った私とすれば、仕事をするのに答えを受け取ってしまったようなものである。ある種の熱意すら感じる文面を理解し、あとはもうちょっと文面を柔らかく、事実だけを抜き出してやればほとんどの仕事は終わったようなもの。

 

皆、お金はある。お金はあるしこれまでのドキュメントもちゃんとある。過去、この状況なら継続すると皆思い込んでいた。人の問題は解決できる、と。ところがその人問題。担当できる人がどんどん減っている。減っているのであればお金がいくらあっても買えない。

なぜだろうか。まだ少子化等々の話が顕在化するには早すぎると思う。そうではなくて、抽象化されてしまった下のレイヤーを知っている人が減っているのではないか。今のベテランたちが、下の世代を育てるのを諦めてしまった感もある。今さら、オンプレを経験させた上でクラウドを使わせるみたいなことをどの会社がやるだろうか。いきなり、抽象化されたIaaS上なりで勉強を始めるのだから、その下のレイヤーが無かったことになってしまう、のである。そして自身はスペシャリストを自認する。

また、大企業が若手を集めてしまっている現状もあり、大企業が上のレイヤーを好むところも構造的には問題がある。プロジェクトを顧客と握り、そしてその実装は他社にお願いする。その他社自体に若手がいない。大企業が仕事を作ってもそれをこなす中小企業のコアメンバーが高齢化するとともに、下がいないのである。

 

さて、ベテランとしては、ますます生きやすい世の中になっている。下が育っていないということはますます私がやるしかない。今後も多分仕事は確保されるだろう。でもそれでいいのか、この先。ドキュメントとコンピューターが残って、それを扱える人がいなくなる世の中になりつつあるんじゃないのか。そんな危惧をおぼえたここしばらくである。