orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

組織を活性化する、一人のヒーロー

 

組織全体の技術レベルを考えたとき、安定する時期がある。安定とはとてもいい意味のように聴こえるが、言い換えれば伸び悩みである。伸び悩んだとしても、高いレベルにあれば困ることはないのだが、それは贅沢な話だ。私から見ていて、どうしてこんなラインで安定してしまうんだろうという不満。もっとできるようになれば、仕事も速く正確になって、楽になるのにな。

以前、技術レベルを上げようと思って、空き時間に授業をやってみたことがあった。会議室を取って1時間ほど話す。あなた達にはこれが足りてないんだよ。こういうことを知るほうがいいよ。

その際に私が作った資料を久しぶりに見てみたんだけど、自分が作っただけあって要点がまとまっている。当然私が書きたいと思ったことがまとまっているので、私には理解しやすい。

しかし、それらが組織のメンバーたちに技術として浸透したかというと非常に疑わしい。彼らには「へえ」しかなかったんじゃないか。授業したことは後悔はしていないが、効果的ではなかったなと反省している。

きっと、今のこの不自然に安定してしまった組織に必要なのは、上段に構えたテックリードじゃなく、「普通のメンバーでありかつ、技術レベルの高い人」を組織に放り込むことなんだろうと思う。技術レベルの高い人ならわかる。この組織はなぜこの方法が今「当然」になってしまっているのだ、と。当然がおかしい。もっといい方法が世の中には転がっていて、改善できまくる。なんで皆はやらないんだろう。そういう目線を持った人を、普通のメンバーとして放り込むことが一番効くんだな、と思った。

CTOというポジションが機能しないのは、今回の話に通づるものがある。かっけえポジションを作ったとして、会社の外に対しての象徴的存在としては生きる。また、社内にあんなすごい人が統括しているという安心感をもたらすことができる。しかし、CTOがメンバー一人ひとりにこんな技術すごいぞと説得したって、組織の技術レベルが上がるわけじゃない。CTOが派手に踊った割には社内が活性化しないという状況となる。

中途採用が妙に作用するときは、既存社員よりもはるかに高いレベルの人を組織の一員にするときだ。そこで一緒に仕事をしていって、ああなんて自分(たち)はレベルが低いんだと反省しだしたときに、組織は活性化する。

だからといって、妙にプライドだけ高かっただけで、チームに不和をもたらすこともあるので要注意だが・・。真の意味で技術レベルが高くないとできないことだ。

組織は、いろんな刺激を与え続けないと、「これまで通りでいい」の成功体験縛りであっという間に安定化してしまう。そうしたら次に「ここにいても技術が向上しない」とか、わけのわからないことを言われて退職していってしまう。

自分に対しても組織に対しても、会社の期待は年々高まっていくわけで、安定化するわけにはいかないのである。優秀な人をどんどん投入し、組織レベルが上がっていく人事政策。ビジネスを大きくしていくことを諦めない限り、不可避な話題である。