orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

たくさんコンピューターを並べるより、たくさん人を並べた方がビジネスを拡大できる理由

 

私のキャリアの前半部分は他社常駐のシステムエンジニアだった。同僚は同じ社員であっても全員ライバルだと思っていた。周り全員に勝ってやる、というのがモチベーションで、結構勉強熱心な20代を過ごしたのは厳しい環境にいたからだと思う。それはそれで、勉強しなければいけない時期としては機能した。

どう周りを出し抜いてやろうか。チャンスがあれば人に先んじてトライし、どんどんアピールしよう。もっとできる人がいれば、それよりもできてやろう。そんなことばかり考えていたような気がする。

勝ったら昇進し、マネージャーに近づいていき、部下もできる。部下とも競争だと思っていた。プレイングマネージャーの期間は今現在も続いていて、誰にも仕事では負けんぞと思った末に今がある。負けず嫌いの性格も幸いして、どんなテーマが来たって負ける気はしない。それは今も一緒。

 

しかし、この、同僚ですら勝ち負けを考えてしまうというのは、絶対に良くない・・と今になって思っている。というのは、誰かと一緒にチームで働くときに、そこで目指すべきは「協調」であり、「対立」「敬遠」「攻撃」などはみじんも起きない方がいい。なぜなら、チームがまとまり、気分良く、楽しく過ごせたときに、生産性が非常に上がるからだ。

昔と今では、すっかり価値観は変わっている。

自分一人がとてつもない生産性を持てば、大抵の仕事はできると思っていた。実際、それぐらいの結果も出したのだが、そこで壁にぶち当たった。一人でできることの量は、どんなに努力したところで限界がある。自分の手がまわらなくなくて人がいないときに、コンピューターを使って一部の仕事を自動化するとしてもだ。その自動化した部分が時間の経過とともに自分にとっての負債になっていく。自動化した部分を把握しつつメンテナンスしなければいけない手間が後々増えて行く。本来は人にお願いするべき作業をコンピューターにずっとやらせたていたら、そのコンピューターへの指示を把握しているのは自分だけとなる。コンピューター管理職としての自分が手一杯になる。

他方で、人に仕事を渡すと何がいいかって、その仕事の内容を更に良くしたり、更に他人に教えたりしてくれることだ。一人に教えて、その一人がまた周りに教えて・・を繰り返すと、どんどん組織の生産性が上がるのを体感した。人間の知恵ってすごいんだなと感服。コンピューターに自動化させたとて、コンピューターが周りのコンピューターを教育することはないから。

ただし、この人間のすばらしさが発揮できるのは、チームメンバーが、お互いを「敵」ではなく「同士」「味方」と思っているときに限られる。

いつ蹴落とされるかわからない。勝ち残るのは自分だ、という思考だと、知恵が伝播していかない。お互いが秘密主義になる。そんな状態でも個々の助け合いは仕事なので割り切ってやるけれど、他人を教育しよう、良くしようなんて思わない。そんなことをしても個人にメリットなんてないから。

 

最近、チームワークというか、個々で助け合い切磋琢磨する組織で働けているのだが、組織の成長が著しい。

プロセスを洗いコンピューターに載せることで生産性を向上する、と言うことばかり長い間考えていた気がしている。人々で手を取り合って仕事をすることのパワーを無視し過ぎていた。

コンピューターは決められた作業にはめっぽう強いが、日々変わりゆく状況を柔軟に凌ぐには役不足だ。かつ、仕事量がどんどん増えて行くと、状況は加速度的に複雑化していく。そこに、また人を投入し、全員で支える状況を拡大していくと、無理なくビジネスは拡大できるんだと言うことを知った。

そもそも、アメリカのIT大手は、システム化のプロフェッショナルが集まっているはずなのに、どんどん人を雇い入れていた。きっと、コンピューターをたくさん並べても、ビジネスはうまく拡大できないことを知っていたのだろう。