orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

会社の若返りには相当なコストを払う

 

社会はここ数年、特にコロナ禍やインフレの影響で混乱したけれど、IT業界は平穏だった。むしろ、デジタルが有利に働いて業績が良い会社のほうが多かったように記憶している。

ここ最近、風の変わり目を感じ始めている。来年以降、あまり順風と言えない状況だ。理由は、世代交代だ。ここ10年会社を引っ張ってきた人たちが高齢になりつつあり、このままの体制では会社の継続性に疑問が生まれる。

毎年安定的に新卒を雇用し、終身雇用制度が継続しているような、今では珍しいかもしれない昭和な企業は、逆にこういった問題には遭遇しにくい。

景気によってフレキシブルに新卒の数を調整したり、むしろ中途採用だけで会社を運営しているような企業では、どうしても年齢構成が偏る。

このような会社。すごく調子がいいときは、分厚い世代が30代くらいで、給与待遇面と活躍のバランスが心地よい。

それから10年が経って。

活躍世代が40代に移るが、30代がうまく育っていないとする。育たなかった件についてはいろいろ問題はあるが、30代が活躍していると20代が「上がいるから出世できないので他に行きまーす」と言い残して転職してしまう。または、30代はまだまだプレーヤーなので、マネジメントの力量不足というのもあった。

ともかく、会社は問答無用で老いる。老いたな、と思ったときには経営者は決断しなければいけない。将来をふまえて、会社は若返りするのだ、と。

未だに40代が主力の上に手を動かす量が多く、彼らなしでは会社は動かないとしたら、10年後、どうする?。

主力は50代!なんて会社、きっと取引先からも心配されるだろう。貴社は若手はいないんですか、なんて。育てるとしても崖っぷちである。あと数年の間に主力を生み出さなければ、事業ごと他の会社に売るぐらいしか方法がなくなる。

 

そんな状況で、40代が主力の会社は流石に20代や30代を育てて彼らを主力にしていくことを、ここから数年でやっていかねばならないのだが、これはやってみたらわかると思う。

やらせてみたら、かなり「遅い」。

品質については若手の素養によると思うが、総じて遅い。それぐらい今の40代以上で主力になっている人たちの手は速い。速くて品質がいいのが当たり前。かつマルチで仕事をこなす。

若手はまだまだシングルタスクにならざるを得ず、マルチになった途端にもっとスピードは落ちる。

引き継ぎをきちんとやって、フォローしてあげればいいじゃない、と簡単に言われるが、仕事は生き物であり、日々想定外と戦う。想定していたことは引き継げるが、想定していないことは引き継げない。それらは若手を想定外に晒して上げないと、一生伸びない。それを40代が相変わらず対応していると、いつまで経っても主力が育たないというジレンマである。

 

それでも、授業料だと思ってその「遅さ」を許容しないといけない。許容できないのなら人数を増やしてでも、若返りを先に進めないといけない。

だから、必然的にコストがかかる。

若返りしようと思ったら、お金を準備しよう。お金をかけると思おう。その心構えがないと永遠に無理だ。今まで世代交代を積極的にしてこなかったツケを支払おう。

そう思っていたら、最近は新卒給与水準がどんどん上がって、若手を集めるだけでも大変になってきた様子。きっと、若返りしないとまずいような会社が、水準を上げているんだろうね。伝説みたいな技術者がいて、その人が結構な責任を背負って事業をまわしているけど、永遠に会社にいてくれるわけでもなし。

一方で、日本では会社には70歳まで勤める雰囲気作りも進んでおり、これは保険みたいな話だと思うね。でも将来を考えると、やっぱり70間際でこの仕事やってたら狂ってると思うわ・・・。