orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

終身雇用制度は終わったように見えるが、代わりの制度は特にない

 

終身雇用制度は終わりを迎えているのに、その代わりとなる制度がない。

この事実にお気づきだろうか。

終身雇用制度は、昔はどの会社でも当たり前だった。在籍していれば給料が勝手に増える。転職はあまり一般的ではなく、一つの会社で勤め上げることが普通とされていた。

終身雇用制度がなぜ終焉したか。

1つ目に、社員が努力しなくても賃金が上がって行くことに安心してしまい、努力しない人が大量に表れてしまうこと。「働かないオジサン」と何度か過去揶揄されていた存在は、この副産物だ。あの年配の先輩、会社に来て何もしないのに、自分よりやたら高給をもらっているらしく腹立たしい。そんなことが起こりえるのが終身雇用制度だ。

2つ目に、社員が長い間離脱せず留まるので、会社に変化が起きづらいこと。いつも同じ人達と仕事をしていたら、変化が起きないので思考が硬直化してしまう。いつもの人たちといつもの仕事を繰り返す日々に馴染んでしまう。

3つ目に、入れ替わりが少ないので、似たような人ばかりが集まってしまうこと。会社に多様な人々がいてこそ、多様な考え方のもとビジネスを成長させていくことができる、という今風のビジョンと真っ向から対立する。

日本企業が国際競争力を持っていた時代はそれでもこのようなデメリットを許容できていたが、何度かの不景気を経て、会社の構造改革に取り組まなければ沈んでいくことが明確となった。その根本に終身雇用制度があり、いびつな結果となっている45歳以上の(終身雇用の結果給与が高くなってしまった)ベテランを、割増金を支払ってでも退職させる。数年前に起きたあの希望退職制度ラッシュが、終身雇用制度終了のお知らせ、だったのだ。

いくらベテランを追い出しても、会社の制度そのものを変革しないと、数年後にまた若手社員は年を取り、45歳まで上がって行く。その度に希望退職を繰り返すのも能がない。年齢構成を若返りさせた後は、年功序列的な文化の撤廃を会社が実施した。

おかげで、今の若手は、活躍しない限りは給与が頭打ちになる。年功序列でないのだから、いくら長い年数を同じ会社で務めたところで、終身雇用的なメリットは既に削られているということになる。

やっている仕事に相応した報酬。いわゆるジョブ型雇用だが、正社員の雇用規制がある日本においてはかなりカスタマイズされた模様。結局のところ、解雇はないものの、働きに合わせて報酬を増減させるということになった。

さて、今の少子化問題、まで発想を広げる。

私が結婚した頃は、まだギリギリ終身雇用の空気があった。とりあえず会社で仕事に就いて、真面目に働いていれば、それなりの収入がライフステージに合わせて上がって行くという空気はまだ残っていた。

ただし、就職氷河期の始まりで、正社員の求人数がかなり絞られたというのはあったが。ひとまずそれでも、正社員になれれば、それなりの生活が老後までできると、ほとんどの人が思っていたはずだ。

今はどうだろう。終身雇用制度ではないので、単に長く働いていても、給与が上がって行くとは限らない。今は新卒の給与が各社上げあっているけれど、そこから年々給与は上がらないかもしれない。

そんな状況で、結婚するか、と言ったときに二十年以上前よりも、若手はもっとリスクを感じるのかもしれないなと思う。

本当にこの人でいいのか、慎重に検討しなければ

と思うのであろう。そして共働きの時代になっているので、女性だけではなく男性だって相手に求めるのである。将来性を。

結婚って、そんなに慎重にするものなのだろうか。若さに任せて、えいや、と。そうはいかないか。私の場合はというと、結構勢いに任せた記憶がある。それは当時の時代性だったんだろう。もし、今の時世であったらどうだったのかな。終身雇用制度を終わらせたことが、今の少子化問題を加速させてしまったと考えるがごくごく自然だと思うのだが。