orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人手不足、本当の意味

 

最近は人手不足という言葉をまともに受け取らないようにしている。人手とは、人の手のことじゃないんだ。想定する年齢・性別で、かつ想定する収入で働いてくれる人、の手が足りないという意味だ。

社内の経験者が年を重ね、現場の熟練者として君臨しているが、このまま放っておくと後継者がいない。現場で一番の若手が40代なんてことも最近ではざら。ビジネス自体はうまくいっているのに、組織が、人の配置がアンバランスになっている。理想は40代・50代のベテランがいて、20代30代が追い付け追い越せと切磋琢磨する組織。IT業界だと20代は入ってくる。未経験だが。そして30代がなぜか空洞になっている。

ベテランは40代以上がいるし、未経験は20代に多いので、評価としてはその中間ぐらいの位置で人材募集をする。するものの大抵は空振りする。なぜなら魅力がないからだ。

今日、久しぶりに退職エントリーを読んだ。

 

zenn.dev

 

著者も37歳ということで、とても理解できる流れだった。このように最近の会社は20代を育てても外に出て行ってしまう。一方で外からは(募集の条件が合わなくて)30代が来ない。だから、見事に空洞化してしまう。

事業会社も難しいところである。30代を高額な評価で採用してしまうと、今のベテラン連中も給与水準を上げないと妙なことになってしまう。単なる一人の採用の話でなくなってしまうのだ。

この記事の著者も、フリーランスを選択してしまっている。なかなか、正社員で給与も上げては、難しい。どの会社も給与水準は似たようなもの、だから。

フリーランスはフリーランスでリスクも内在しているので、そのリスクに対する対価としての高リターンとなっている。リスクをきちんとコントロールできる方ならもちろんフリーランスに挑戦する価値はあると思う。自身で判断すべき事項である。

正社員雇用なら、一旦むしろ給与水準は下がる条件だとも思う。転職して、成功したら給与が上がるパターンだ。30代になってポテンシャルで採用されるほど甘くない。

フリーランスだと、言ってたことがウソだったらもちろん即刻契約解除なので、正社員ほど甘えが許されない。実力のある人は正社員採用ではなくそういったゾーンに向かっている。ないと思う人はずっと会社から動かない・・そういうことなんだろう。もしくは転職市場には出ないで、リファラルで、過去の人間関係から転職する・・のかもしれない。

 

だから、人はいるのである。条件に合う人がいない、のだ。条件の合う人を中途採用で招き入れること自体が難しくなっているので、もうあきらめろ、という話が「人材不足」だと思う。

会社にしてみたら、一か月二か月、試しで採用してみてダメなら終了にできるのならもっと高額でも採用するだろう。でもそれは法律が許さない。試験雇用の形を取っても理屈が通らないと正式に雇用しないといけない。それで揉めた事例も多々ある。

これだけ人手不足、という現象が続くようであると、解雇しづらい今の雇用制度も中々行き詰まるか、もしくは、もうスキル無しの未経験でいいから大量に受け入れてなんとか戦力にするかのどちらかしかないのだろう。つまり今は後者しか道はない。それすらしないでただただ時間が過ぎるのを待っていたら、きっと事業を他社に売らないと継続できなくなるだろう。

後は法律の方が変わるか・・なかなか日本では理解されないだろうね。解雇しやすくなる法改正なんて・・。

いつも、人手不足、と言う言葉をそう見ている。そうだなあ、本格的な不景気で高い技術を持った人が無職状態に多数なるようなことでもないと、なかなか今の状況は変わらないだろうね。