orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

45歳リストラ 希望退職に応じない社員がどんな目にあうか

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辞めさせたい企業

45歳以上への希望退職。終身雇用制度の崩壊。もはや大企業の経営者が何を思っているかは明らかなのですが、この流れに逆らう方が居ても不思議ではありません。正社員はそもそも正当な理由なく解雇しにくい。

希望退職に応じなかった社員について、よく話題になるのが「追い出し部屋」の存在です。ある部屋に集めてわざと生産性の低い仕事を一日中やらせる。これでわざとモチベーションを著しく落とし自主退職に進ませるという手法です。

昨今希望退職の話を多く聞くということは追い出し部屋が続々と建立しているのではないかと思い調べてみたところ、確かに多くの記事が見つかりましたのでまとめます。

 

まとめ

直近のニュースを並べています。報道されていないものもあるんでしょうね。

 

東芝(2019/6/15)

www.asahi.com

 東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新しい部署ができた。そこには希望退職に応じなかった社員らが集められ、社内外の多忙な工場や物流倉庫で単純作業を命じられている。東芝は「適切な再配置先が決まるまでの一時的措置」だと説明するが、社員からは「退職を促す追い出し部屋だ」との反発が出ている。

(中略)

 若い働き手にまじって作業をしている男性は「不慣れな肉体労働で疲労がたまる。こんな作業を続けていても先が見えない」とこぼす。

 

田辺三菱製薬(2019/3/18)

www.sankei.com

 長時間労働で鬱(うつ)病を発症した後、退職強要で「追い出し部屋」へ配属され精神的苦痛を受けたとして、田辺三菱製薬(大阪市)の50代男性社員が会社や上司らに対し、計約1100万円の損害賠償を求めて大阪地裁(内藤裕之裁判長)に提訴したことが18日、分かった。同日に地裁で第1回口頭弁論が開かれ、同社側は請求棄却を求め争う姿勢を示した。

(中略)

23年4月、人事部内の部署に配属されたが、履歴書の書き方を習わされるなどの研修を1カ月ほど受けた後は、出勤しても何の業務もなかった。

 

森永乳業(2018/12/19)

www.sanspo.com

 森永乳業の子会社の洋菓子製造業「シェフォーレ」(千葉県八千代市)の男性社長によるパワーハラスメントを内部告発した後、報復人事などで精神的苦痛を受けたとして、40代と50代の男性社員2人が森永乳業と同社、社長に計約1000万円の損害賠償を求めて千葉地裁に提訴していたことが19日、分かった。

(中略)

 40代男性は16年12月から、他の従業員と隔離された監視カメラ付きの「追い出し部屋」で働かされ、草刈りや産業廃棄物の処理といった業務を担当してうつ状態になり、通院していると訴えている。

 

三越伊勢丹(2017/4/19)

gendai.ismedia.jp

「まさかウチの会社に『追い出し部屋』ができるなんて、夢にも思っていませんでした。まったく別の業界の話だとばかり思っていた。

持ち株会社の人事部付で『サポートチーム』という部署ができ、4月1日付の人事で、50人以上の社員が各々バラバラの部署からこのチームへ異動させられたんです。

部長クラスが数人、課長・係長クラスが20人以上、定年間近の人から30代の人まで様々なようです。

降格させられる社員が多く、当然給与も減ります。部長クラスは管理職を外され、年収が100万円超下がるとも言われています」(三越伊勢丹の中堅社員)

(中略)

「サポートチームに課された仕事は、旗艦店3店舗(伊勢丹新宿本店、三越銀座店、三越日本橋本店)での『販売応援』なんです。お客様の整列や、棚の整理など誰でもできる業務。学生バイトにやらせるような仕事です」(前出・中堅社員)

 

「追い出し部屋」だけではない、辞めさせる方法

明るみに出ていない話もたくさんあると思います。希望退職を募ったたくさんの会社で、拒否した方をどうするかについてきっといろんな軋轢を生んでいるのではないか、そう思います。

昨今は「追い出し部屋」自体は上記のように裁判に発展するケースも多いため、もっと巧妙になっているとのことです。

 

president.jp

最近はこうした手口がより巧妙化した。鈴木氏が続ける。「上司など会社側は退職勧奨につながる言葉を一切口にしない。代わりに人材会社が間に入ります」。

どういうことか。

「まず会社は『スキルアップのため』といった業務命令で、社員を人材会社に行かせます。立場は出向や業務支援などさまざまですが、そこで事実上の退職勧奨が行われます」

人材会社では「キャリア志向性」や「人生の根っこ探し」などと称した適性診断テストを受けさせられる。テストでは一問一答式の質問にYES、NOで答えるが、最終的な結論は「会社の外に活躍の場を求めたほうがいい」と決まっている。

(中略)

大手電機メーカーの企画部に勤務していた45歳の課長は、人材会社に出向後、週に1日このテストを受けて、残りの日はクレーム処理をさせられた。適性テストでは毎回「営業に向いています」「これまでの仕事よりもこちらのほうが」などと言われ、結局転職したという。この転職先も人材会社が斡旋する仕組みになっている。

 

いわゆるプログラムとして退職させるためのロジックを周到に組んであり、本人が進んで退職するように仕向けるというシステムになっている。これは怖いですね。

 

www.sankeibiz.jp

 ここで思い出されるのが、リーマン・ショック後の業績悪化時にいくつかの大企業が設置した「追い出し部屋」だ。一つの部屋に押し込むことで心理的に追い込み自己都合退職を促す手法であり、これこそが終身雇用崩壊の号砲のようなものだった。副業をしている社員であれば、会社を辞めても何とか食っていける。うがった見方かもしれないが、会社は副業解禁を「マイルドな追い出し部屋」のようなものとして利用できてしまうのだ。

 

こちらは、副業をどんどん社員に推奨し、会社を辞めさせるハードルを下げるという一つの見方です。決して企業が本音を言うことはないと思いますが、できるだけ社員の自社への依存度を減らし退職した時のリスクを低減させておくのは、一つの「辞めさせやすい環境づくり」とも言えると思います。

 

今年前半は希望退職のニュースが躍ったのですが、この裏側には従わない人への圧力が隠れていることを忘れてはいけません。希望退職すれば大金を受領できるし従わないこともできる、なんていうのは楽観的過ぎる見方です。企業の意思として、終身雇用制度はもう継続したくなく、それを前提に雇って高給となってしまった45歳以上の社員をなんとかリストラし人件費をセーブしつつ、優秀な新卒を取得する原資にしたいという流れは明らかです。しかし新卒も入るときは以前より高給でも、給与は上がりにくくなるのは自明の理です。利益貢献しない社員はいつまでも給与を上げない。これが終身雇用制度崩壊の正体です。

大企業に入れば一生安泰。私が学生時代に多くで語られたこのビジョンはすでに崩壊しているということを理解しなければいけないと思います。