orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

パブリッククラウドの周辺サービスを極力使わない理由

 

パブリッククラウドのコストが高い、その理由はトラブル時のバックアップにあるとの調査結果が出たそうだ。

 

www.itmedia.co.jp

 パブリッククラウドのコストが想定より高いと感じている企業はどれだけあるのか──データ保護ソリューションを提供するベリタステクノロジーズ(東京都港区)は11月16日、世界規模で実施したこんな調査結果を発表した。回答者のうち94%が予算を超過していると答えた。

 予期せぬコスト超過の原因として最も多いのは、バックアップやデータの復旧(40%)だった。同社は当初からバックアップやデータの復旧を予算に織り込んでいなかった結果、トラブルが起きたときに追加の予算が必要になっている可能性があると分析している。

 

理想論から言えば、パブリッククラウドが提供している周辺サービスで全て賄うことができればきれいな設計になると思う。ただ、私は大昔から、パブリッククラウドに携わり始めたころからクラウドベンダーを全く信じていなかった。パブリッククラウドの周辺サービスなんて「やめます、ごめんね」と言われたらおしまいだからだ。

パブリッククラウド上では仮想サーバーやストレージなど、とてもレイヤーの低いサービスの利用だけに留めた。さずがにそのレベルでやめると言いだしたらクラウドがなくなるからだ。いろんなPaaSやSaaSは、仮想サーバーやストレージの上で動いているから、とにかくやめると言わないレベルのサービスだけ組み合わせた。その上で、オンプレと同じようにソフトウェアを別途購入し、構築することを貫いた。

ソフトウェアベンダーは保守をそんないい加減には考えていない。オンプレだと10年は使うこともあるのでソフトウェアベンダーのライフサイクルも長めである。クラウドは資源を借りるものであり、ソリューションまで使っていたら、そのパブリッククラウドを変えられなくなる。仮想サーバーやストレージはどこのクラウドでもあり、そこにソフトウェアをインストールし動かすのはクラウドの種類に依存しない。

今回の調査の例にあるバックアップにしたって、パブリッククラウドのバックアップサービスなんて全然信じていなくて、バックアップソフトウェア専用ベンダーのソフトウェアを長年使っている。餅は餅屋であり、日々のバックアップをきちんとまわしてくれている。

今回の調査はバックアップソフトウェアに強いベリタスが主催したので、結論が「パブリッククラウドのソリューションではなく、専門ベンダーからソフトウェアを購入し利用するべき」であるのはわかるが、これはバックアップだけの話ではないと思う。想定外が起きにくい設計こそ、コストを下げるインフラになる。暗黙的にパブリッククラウドベンダーが推奨する周辺サービスを絶対に使うと思い込んだら、それは考慮不足となるのが当然だ。競合のソフトウェアでの実装で可能なら、私はその方が運用まで考えるとベターだと思って設計している。

この考え方については、どちらかというと直感的に選んできた部分であり、いつもクラウドベンダーの華やかなサービス発表を聴きながらもやもやしていたのだが、ここに来て正しかったんじゃないかと思いつつある。安定しサポートを長く受けられるソリューションこそが、運用コストを下げられる。