orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

部下の報告が遅い、不十分だと嘆く上司への処方箋

 

とあるツイートで、「若手には報告をすることで、上司に責任を押し付ける意味がある。積極的に報告して責任を取らないようにしよう。」という意見を見かけた。

これ、そのまま額面通り実行してしまうと、上司はかなりウザい。全部報告するなよ、となる。そう言われると何を報告していいかわからなくなり、きっと何も報告しなくなる。何も報告しないと、君は報告がないから何をやっているかわからない、と釘をさされてしまう。どっちにしろ怒られるじゃないか、となる。的確に報告するというのは結構高度なスキルの一つだと思う。

部下が報告を適切にできるようになるには、上司の立ち回りが欠かせない。もし部下が報告をしないと感じているのなら、上司が作った体制にかなり問題があるということになる。理想は「必要な情報だけが速やかに報告されること」である。どうすれば理想に近づけるのか。

まず、情報が円滑に伝播されるためには、コミュニケーション基盤が欠かせない。部下は仕事しているだけで、周りにメッセージが伝えられるようにしなくてはいけない。何かのタスクの仕掛り中だとして、今この仕事をやってるよ、ということが周りに自然と伝えられる形にしないといけない。また、タスクが完了したら、完了したことが周りからも見えなくてはいけない。そうやって個々の仕事が周りに自然に見えるようになれば、必要だと思う人がそれを見に行けばいい。この時点で不要な報告のほとんどは減る。

問題は、部下が仕事に詰まったとき。自分では判断できない要素があり、メンバーや上司、あるいはお金の力を得ないと先に進めないとき。タスク開始時の目処が大きく変わったとき。いろんな想定外が仕事をおそうことはよくあることで、こういったときに実施すべきが報告、となる。部下には、こういったときには報告を速やかに行うよう指導しておく必要がある。

ここまでの話をまとめると、

①仕事をする上でのコミュニケーション基盤が整えられていること
②部下に、想定外の際に、報告を速やかにすることを指導していること

となる。

なーんだ、と思われるかもしれないが、これが案外①のレベルでできていない会社が多い。すぐに報告・連絡・相談、に話を進めてしまうので、会議が尽きなくなる。会議の場でしか進捗の共有ができないのだ。これがあまりにも無駄過ぎる。無駄が多いので報告するのも手間になり、生産性の低い仕事場が誕生してしまう。②に行く前に、まずは環境整備が基本だ。

そして、②だが、ここで見過ごせないポイントがある。心理的安全性の話だ。マネージャーのよくある失敗に、報告を待たずにどんどん希望を部下に伝え、本来部下が判断しなければいけないことまで余計に口を出す、マイクロマネジメントの例がある。報告というものは、基本的に部下から上司にされるものだ。だから、上司から部下に「こういうことだよね報告遅いよ」なんてことを常日頃やってしまうと、部下はますます報告しなくなる。報告をすると怒られることが日常化するからだ。

上司が、部下に報告を指示するとどうなるかというと、報告自体が仕事になる。部下はきっと、今後何も考えずに定期的に指示したことを報告してくるようになるだろう。しかしそれは、レベルの低いことである。本来は前述したように、想定外のことを主体的に報告しにくるのが正しい。

もし、あなたの会社が、やけに報告会と名前のつく時間が多く辟易しているなら、きっと見直すべきだ。コミュニケーション基盤によって大部分の報告は自動化され、必要な人が好きなときに取りに来る仕組みを確立することが大先決だ。

その次に、上司が、部下が報告を能動的にすることをためらわないような、心理的安全性を確立するようなマネジメントを行っているかが大切になる。上司が「報告しろ」を連発するような現場は、きっと心理的安全性が低い。報告したらまた何か余計なことを言われると部下が身構えてしまっているのかもしれない。

このブログでも、マネジメントの本質は「部下たちが能動的にマネジメントできる組織」を作ることと書いた。そこまで行きつければ、きっと彼らは、上司が望むタイミングで、望む情報を自信を持って投げつけてくれるはずである。