orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

パブリッククラウドは不景気時に、物理サーバーが余るに違いない

 

パブリッククラウドって、山のようにサービスが用意されているけど、本丸というか一番よく使われているのは、IaaSの部分だと思う。いわゆる仮想サーバーと、ストレージ。その他のサービスは、ソフトウェア売りと大差ない。ソフトウェアは外から持ってくるのでインフラだけ欲しいというニーズが圧倒的に多いと思う。

そもそも今のLinuxにしろWindows Serverにしろ、OSの中に随分ミドルウェアが含まれてしまっている。OSを入れた時点で、好きなソフトウェアをアドインでインストールすることができる。それなのに、外部サービスをわざわざ使う意味はあまりよくわからない。

あるデータベースソフトウェアをOSにインストールして動かした場合と、データベースサービスをPaaSとして動かす場合、両方のコスト比較をしてみたけど、明らかに前者のほうがお安い。PaaSにした分、いろいろな手間がかかっているせいか、随分高いなという印象を持っている。

つまり、今のパブリッククラウドは、たくさんのサービスを使いこなすより、インフラに特化して利用する方が主だった使われ方だという認識を持っている。

ちょっと昔の記事だけど。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 稼ぎ頭はAWSを代表するサービスであるEC2だ。Duckbill Groupの「最高クラウドエコノミスト」としてAWSコスト削減を指南するCorey Quinn氏は、EC2がAWS全体の売り上げの半分以上を占めるとみている。

 また、EC2、ブロックストレージの「Elastic Block Store(EBS)」と「Simple Storage Service(S3)」、そしてデータベース「Relational Database Service(RDS)」の4種類のサービス、そしてデータ転送費を合わせると、売り上げ全体の70%になるだろうという。

 

そうなんだよね。いろいろメニューはあるけど、ほとんど牛丼ばかり、というのと似ていると思う。私の感覚とすごく合う。それは今でも同じだと思っている。たくさんのサービスはあるが、主流なのは数えるほど、だ。

 

この状況の中で、日本では円安と、資源高、インフレが起こった。そのとき、各社、出ていくお金をしぼらないといけないが、一番減らされやすいのが、この仮想サーバーのリソースだと思う。

使った分だけ払えばいい、が売りのパブリッククラウドが成長できたのは、使いたくなくなったらすぐに減らせる経済性が気に入られたというのが大きい。オンプレミスのサーバーだと、減価償却期間(だいたい5年)が終わるまでは無理にでも使い続けないといけないから。

その安心感と、2010年代の落ち着いた為替変動をバックに、デジタル化の流行と一緒にどんどんパブリッククラウドの利用は伸びた。成長神話のようなものまで信じられるようになった。

ところがここに来て、今後も確実と言われた成長に陰りが出てきている。

 

www.itmedia.co.jp

 米Amazon.comのアンディ・ジャシーCEOは3月20日(現地時間)、4月末までに、約9000人をレイオフすると発表した。1月に発表した1万8000人以上のレイオフに続くもの。今回の対象は主に、AWS、人事、広告、傘下のTwitchだ。

 

AWSまでレイオフの対象になったことが新鮮だ、という反応を多く見た。そう、パブリッククラウドの世界はまだまだ成長すると信じられていたからだ。

ただ、よく考えてみると、所詮はクラウドも、仮想サーバーとストレージの集まりと考えればわかる。不景気的な事象が発生した場合に最もすぐに減らされるのもこれらだということ。便利さは、景気後退期には運営に負担がのしかかる。資産が過剰となってしまう。

人間の数を減らすより、まずサーバーにかかる費用減らそうよ、というのが利用者においては基本の戦略となる。だから、きっと、これまで雑に管理されていたクラウドも、かなり精査して各社スリム化したと思う。それらの動きにパブリッククラウド側がNOということはできないが、すでに買ってあるサーバーは遊休資産となってしまう。このギャップこそが、収支悪化につながると思う。だからAWSも収支を改善するためには、すぐに動いて組織をスリム化するしか方法がないということになったのだろう、と推測する。

今回の上記の人員削減に何の違和感もない。機械を減らせないから、従業員を減らしたということだと考えている。